うみがめ波瀾万丈・少年編��
文化週間（2008.12.08）
「クリスマス雑感」（「雑学の部屋」参照）の関連記事
以前、私の通っていた高校ではクリスマス会と称して、市民会館を借り切っての文科系クラブの発表会をやっていた事に触れました（元記事・かなさんへのレス参照）が、実際には「文化週間」という校内行事の最終日をそう呼んでいました。
文化週間とは、函ラの場合学園祭がどうしても外向きの行事になりがちなことから、純粋な校内行事として設けられたものです。各文化系クラブ、時には個人レベルでの展示が校内のあちこちでなされ、体育館を使っての弁論大会が行われ、最終日には音楽系クラブを中心とした発表が行われます。
その中で、確か私が２年のときだったと思うのですが、中学でもやっていた合唱コンクールもどきが１・２年生を対象に行われるようになりました。「もどき」と書いたのは、確か順位付けまではしていなかったからです。
だからでしょうか、クラスによっては合唱というよりは器楽合奏を聴かせるところもありました。
あと、私が１年の時には、ラサール修道会創設者のジャン＝バティスト・ド・ラ・サールの生涯を描いた映画が上映されましたが、これはその年が開校20周年の節目だったからでしょう。
とはいえこの行事、兄の在学中には「わざわざ市民会館まで出向いてお昼寝をする会」などと揶揄されたこともありました。
確かに、１年当時のクリスマス会を観ていて、一部の生徒だけが盛り上がっている印象は否めませんでした。
そうじゃない、生徒一人ひとりが支える行事なんだということを自覚させるために、翌年から１・２年生は全員参加としたのでしょう。（大学受験を控えた３年生は引き続き任意参加）
これも元記事で触れた「クリスマス・バスケット」とともに、さすがキリスト教系の学校と思わずにはいられない行事でした。
どこよりも早い卒業式（2008.02.06）
卒業式といえば、普通は３月に行われるものですが、俗に進学校と言われる一部の高校では、受験対策の為卒業式を２月に前倒し開催しています。
実は私の通っていた高校もそうでした。
大体２月の初旬に行われており、これは函館市内の高校の中では勿論トップです。
そのためか、例年地元マスコミが取材に来るようです。
それを見越してのことでしょうか、一時期こんな行為が目立ちました。
主に体育会系クラブの卒業生に見られたのですが、卒業生は部活動の時のユニフォームを着て参列、それを見送る在校生は部の先輩が壇上に上がると同時に、「○○先輩のご卒業を祝し、バンザーイ！」と絶叫するのです。
でもこれでは、厳粛な式の進行が妨げられてしまいます。
だからでしょうか、我々が卒業する年に、クラス担任はこう言って生徒達に釘をさしました。
「いいか、くれぐれも卒業式らしい服装で参列するんだぞ。間違っても寝巻きのような格好で出ては駄目だぞ」
生徒の中にはユニフォームを寝巻き代わりに着用していた人もいたから、こんな発言になったのでしょう。
そして、私達の卒業式当日です。
卒業生の殆んどはスーツ、一部に学生服（私もそう）や紋付袴の人もいましたが、教師達のお達しが効いたのか、ユニフォーム姿の卒業生はいませんでした。
また、式の進行を妨げる在校生からの万歳コールもありませんでした。
その代わり、一つのクラスの全員が卒業証書を受け取り終わると、そのクラスの代表が壇上に駆け上がり、彼の音頭とりでクラス全員が万歳三唱をしました。
中には「全員で爆笑！」と号令をかけた代表もいました。
それが軌道修正されたのが私達の年度と言えるでしょう。
大学受験(2006.10.22)
私が高３だった1982（Ｓ57）年の７月、父は宮城県岩沼市にある、仙台空港に併設された航空保安大学校に転勤します。途中入寮するのも寮の受け入れ態勢から難しく、その為母と共に高校から近いマンションを借り、そこで卒業まで過ごしました。兄は私が高校に進学した年に徳島大医学部に進学しており、既に函館にはいませんでした。
いずれ大学受験について考える時が来る事は、進学校と言われる函ラに入った時点でわかっていました。ただ、どこに進学するか、それを決める時に少し考えました。
私立大学は学費その他の出費がかさみ、一公務員に過ぎない父に要らぬ負担を強いる事になる、行くなら国立だ。では学部は？
文学部や理学部に進んだところで、卒業する頃に又進路で悩むだろうし、会社勤めも決して安定しているとは限らない。何か資格を生かした職業に就けば、どこででも通用するだろう。現に兄もその方面に進学しているし。そう考えて、医歯薬系の学部に進もう、と決意したのは高３になってからでした。
高３の時に受けた共通１次試験は決して満足の行く結果ではありませんでした。この成績では少なくとも医学部は無理だろうと、２次試験は岩沼からも近い東北大薬学部を受験しましたが、見事に撃沈しました。その為、仙台市内の老舗予備校（今は大手の傘下にある）で、翌年の受験に向けた準備を始めます。
始めのうちは、福島や山形といった東北地方の大学を考えていましたが、やはり自分のネイティブは四国だ、現に兄は当初から徳島一本に絞って受験準備をしていたし、そう考え直し、84年３月、高知医大（現・高知大医学部）を受験します。
試験日から２週間ほど過ぎたある日、大学から電報が届きます。曰く、
トサノウミニカツオノボル オメデトウ
合格でした。
明けて４月、私は期待と不安に包まれながら、大学の門をくぐったのでした。
期待と不安の自己採点(2008.01.21)
(上記記事に関連して）
大学入試センター試験を、私の頃は共通１次試験と呼んでおりました。
現役の時の自己採点は、学校側が受験産業大手の旺文社・福武書店（現・ベネッセ）・代々木ゼミ・河合塾の各社と契約、それぞれの集計用紙が配られました。志望大学欄は、全ての業者で同じにしましたが、どこでも合格可能性は低くしか判定されず、余計憂鬱になるばかりでした。
そこで、浪人の時は業者によって異なる大学を書くことにしたのです。
そのほうが様々な可能性が広がるから、という父のアドバイスを聞き入れてのことです。
河合塾は自分の通っていた予備校とは同系列だったことから、予備校で記入を終えました。
後は自宅で記入しましたが、代ゼミは講習会で世話になった、そして駿台は模擬試験で世話になったことから、データシートは無条件で送られてきました。
本当はそれだけでやめるつもりが、以前進研ゼミ・進研模試を利用したつながりから福武からも往復はがきの形でデータシートが送られてきました。
ここまで来たら旺文社にも出そうと、蛍雪時代の２月号（だったと思う）を購入しました。データシートが綴じ込まれているからです。
その結果、実際に受けた高知医大以外の大学への合格可能性も分かり、やはりこの方が正解だったなと思いました。
判定は決して良いほうではありませんでしたが、２次試験での挽回もあり得ると思い受験に臨みました。結果は上記の通りです。
センター試験ではしくじったとお思いの受験生の方、まだ挽回のチャンスはあります。
最後まで諦めず、気持ちを切り替えて２次試験に臨んで下さい。
合格電報（2009.03.26）
「全国高校別大学合格者一覧」という週刊誌の特集記事を見るにつけ、「サクラサク」などの文面で合格を知らせる電報を受け取った受験生の喜びは、正にその人にとっての春の訪れに通じるものがあるように思います。
かく言う私にもそんな時期がありました。（上記記事より）
84年３月、高知医大（現・高知大医学部）を受験します。
因みに不合格の時の文面は「龍馬の目に涙」（元は片仮名の文面を漢字かな交じりに変換、以下同様）だったのですが、このように電報の文面を見るだけでも、地域色を感じさせるものは多いようですね。試験日から２週間ほど過ぎたある日、大学から電報が届きます。曰く、
トサノウミニカツオノボル オメデトウ
合格でした。
そうした例としては他に、高知大の合格電報「鯨が釣れた」があります。あるいは、旧商船大の「沈没」もいかにも、といった感じの文面ですね。
他にも、「ピカピカの一年生」という文面や、映画「野生の証明」がブームだった頃は「タフでなければ生きられない」という文面など、その時代を反映した電文も見受けられます。
その一方で、兄が大学に合格した時に受け取った電報は「○○大合格した」というなんとも味気ない文面でした。不合格の時も「再起を祈る」でしたから…
だからでしょうか、受験産業各社が発行している「受験生の心得」の中にはこんな記載も見受けられました。
「合格電報を請け負う『私設電報屋』に頼む場合は、念のため複数の業者に頼みましょう。中には金儲けだけを目当てにした無責任な業者もいるからです」
幸い私は、そうした業者に捕まることはありませんでした。
地方の大学では、この手の私設電報屋は１〜２つしかなく、彼等は純粋に遠方からの受験生の便宜を図るのが目的だからです。
これが大都市圏の大学に行くと、多数の私設電報屋が乱立しており、その中には残念ながら悪徳業者も紛れているのです。彼等はいくつもの大学で電報を請け負っている、いわばプロの集団です。
そうしたプロ集団によって「サクラサク」が「サクラチル」にされてしまっては大事、とその心得では説いていたわけです。
ただ近年では、こうした私設電報屋の話も余り聞きません。 入試の合否は大学当局のＨＰにより携帯やＰＣですぐにわかってしまうシステムとなっているのが影響しているのでしょう。 とはいえ、かつての私設電報屋も実際には電話も請け負っていたところが多かったようですが。
まあ確かに、一刻も早く結果が知りたいのが人情でしょうが、それではいかにも味気ないように思うのは私だけでしょうか？
うみがめ受験記・東京理大 (2007.02.26)
では実際の受験とはどのようなものだったか、今回から数回に分けてお話します。
仙台で浪人生活を送っていた1984（Ｓ59）年の２月12日、腕試しのつもりで受けたのが東京理大でした。
その前日に自宅のあった岩沼から急行列車で上野に向かいました。当時既に新幹線は開業していましたが、この時は交通費を浮かすために周遊券を使いました。そのために、別料金のいらない急行を利用したのです。
上野駅の近くで昼食をとり、そこから電車を乗り継いで大学のある飯田橋に向かい、試験会場を下見しました。
大学側が遠隔地から来る受験生のために用意した宿には、飯田橋周辺の宿もありましたが、私はここでも安く上げようと、西武沿線の下落合にある宿をとりました。
飯田橋から西武との乗り換え駅である高田馬場までは地下鉄で行けば早い、とのことでしたが、私は前述の通り周遊券利用だったから、それは使いませんでした。
下落合の旅館は、建物は古く、室内の照明は裸電球、テレビは白黒、と良く言えばレトロ、悪く言えばおんぼろでした。
同室者二人は共に広島から来た、と話していました。
夕食時、実は同じ予備校に通う浪人生とも顔を合わせました。彼は理系クラスにいる、とのことで、道理で面識がないな、と思いました。
試験自体には、多少手応えがあったのですが、結局この大学から合格通知を受け取ることはありませんでした。
まあ、所詮腕試し、駄目で元々でしたから、そんなに悔いはありませんでした。
本命はあくまでも国公立大学でしたから。
うみがめ受験記・高知医大 （2007.02.27）
私が受験の為高知入りしたのは、試験の前日、３月３日のことでした。仙台空港から大阪経由で高知入りしました。
ところで、私が初めて高知を訪れたのは小学校から中学校に進学する間の春休み、久々に親の里・香川に帰省したついででした。この時は純粋に観光客として訪れたので、まさか将来ここに住む事になるとは想像だにしていませんでした。
高知医大の受験に臨んだ時も、まだここに住む事になるという実感はわきませんでした。
７年ぶりに訪れた高知は、仙台に比べ確かに温暖な気候でした。空港から市内行きのバスを利用、駅近くの店で昼食をとって後、その日の宿に入りました。そこは駅前の観光旅館で、そのせいでしょうか、東京の安宿と違い受験生もちゃんと客としてもてなす心がありました。夕食にはちゃんとたたきや刺身も出ましたし。
部屋はやはり相部屋でした。同室者の１人は長野から来た現役生、もう１人は山梨から来た現役生でした。
同じ宿には受験生のほか、プロ野球のキャンプ・オープン戦の取材の為関西テレビのスタッフも宿泊していました。取材ビデオを編集する音が部屋の外にまで聴こえていたのを覚えています。
部屋に荷物を置いて後、バスで南国市岡豊（おこう）町にある医大まで下見に行きました。そして大学の周りを見て驚きました。
周りは田圃が広がるばかりで、近くにこれといった商店も飲食店もありませんでした。今でこそ、岡豊界隈には主に学生向けのアパートが立ち並び、コンビニも出来ましたが、私が大学に進学した1984（Ｓ59）年当時の高知ではコンビニ自体珍しかったのです。まあ、周囲に遊べる環境がない分勉強するには都合のいい場所でした。
翌４日、試験当日です。
宿を出る前、実は同室者と持ち物検査をしていた時に、共通１次の受験票を家に忘れてきた事を思い出しました。幸い、大学そのものの受験票はしっかり持ってきていたから、試験場でその旨申し出た事で事なきを得ましたが。
試験科目は英語と数学の２科目、そのせいか、これは後から聞いたのですが、実は高校時代は文系クラスだったという人もかなり受けに来ていた、ということでした。
受験生の中には、明らかに自分より年上の人も散見されました。一旦は社会に出たものの、その後一念発起して医学部に再チャレンジする人は意外に多いのです。
その試験場で、思いがけず同じ予備校に通う浪人生と出会いました。
試験自体は、まあまあの出来だったと思います。
翌５日、面接に臨みます。
面接といっても、純粋に人物を見るためのもので、点数化はされませんでした。
そこで面接官から聞かれたのは、志望動機や高校時代の活動についてでした。
志望動機として、確か「患者の痛みの解る医師になろうと思って志願した」と答えたように思います。
試験を終えた私は、列車で徳島に移動、当時そこに住んでいた兄の許で次の受験に備えました。
ところで同室者のその後ですが、長野の人は見事合格、入学式で再会を果たしましたが、山梨の人とはその後再会していません。
うみがめ受験記・岐阜薬大（2007.02.28）
今でこそ、各大学個別に行われる２次入試は前後期制が採られていて、その分受験の機会も多いのですが、私が受験生だった頃は原則一発勝負でした。
しかし、何事にも例外はあるものです。
一部の公立大学では、試験日をずらす事で最大２校まで併願できるようになっていました。なぜ２校かと言うと、共通１次の受験票に添付されている２次志願票は４枚、そのうち１枚は本命用、１枚は２次募集用だったからです。
これを利用して私は、いわば滑り止めとして岐阜薬科大学を受験しました。
前回の記事で「徳島で次の受験に備えた」とあるのはこのことです。
実は岐阜薬大を受けたのはこれが２度目でした。
１度目は現役の時、東北大との併願でした。しかしこちらも不合格でした。
この大学の入試は少し変わっていて、学科試験の合格者が次のステップとして概ね２週間後、面接試験に臨む、というものでした。まあ、この場合の面接も結局は人物を見るのが目的のはずでしょうが。大学から送られる合格電報も「３月Ｘ日に面接に来られたし」という文面です。それがこの時は届かなかったのです。
３月10日、徳島から高速船と新幹線を乗り継ぎ岐阜入り、先に試験会場の下見をしました。
会場は大学キャンパスではなく県立長良高校、前年もそこでした。
会場から宿までは徒歩でいける距離でした。前年は岐阜駅前のビジネスホテルをとったのですが、この時は「阜山荘」という公務員共済連合の宿泊施設を利用したのです。
この時は個室でした。
翌11日、試験当日です。前年よりはうまくいったかな、という感想でした。
その日、宿に帰ってからは解放感からか、部屋でテレビに見入る時間が多かったように思います。
翌12日、新幹線と急行を乗り継ぎ仙台に戻りました。
岐阜薬大から「面接に来られたし」の電報を受け取ったのは、丁度高知医大から合格電報を受け取った直後のことでした。
勿論、第一志望に合格が決まった以上、無理に面接を受ける必要もありません。
ただ、通っていた予備校の合否調査で、「岐阜薬大には学科試験だけ合格」と返事したにも拘らず、その年の夏休み、模擬試験の監督をするため予備校に行ったとき、たまたま見ていた合格者一覧の岐阜薬大の項目に私の名前を発見したときはびっくりしました。
予備校担当者曰く、「面接を受けていないにしても、学科で通ったのだから合格も同然」とのことですが、私には何か合格者を水増ししているような、釈然としない感じが残りました。