うみがめ波瀾万丈・少年編��
高校進学 (2006.10.21)
兄も私も、高校は函館市内にある私立の男子校に進学しました。
その学校（函館ラサール）は、地元では進学校として有名で、我々が通っていた当時は高校のみでしたが、７年ほど前から中学も併設するようになりました。北海道内全域、更には北部東北・関東・関西などからも生徒が集まる事から、そんな遠隔地から来る生徒の為、寮が設けられていました。でも全寮制ではないので、自宅や、寮のできる前からあった下宿屋から通学する生徒もいます。
そのせいでしょうか、同校の入学試験は函館の本校のほか札幌・旭川・帯広・青森（これも当時。今はほかにもあるはず）で行われていました。兄は札幌会場での受験でした。また合格発表は、学校構内に張り出されるほか、全道ネットのラジオでもなされていました。今時は、個人情報保護の観点から、ラジオでの合格発表もやりにくくなったと思いますが…
兄が函ラを選んだのは、やはり親の意向も多少は入っていたのでしょう。つまり、当時住んでいた釧路の公立校に進学しても、またいつ転勤するかわからない、義務教育ならまだしも高校を途中で変わるのは出来れば避けたい、そんな思いがあったのでしょう。
その年、兄が通っていた中学から他に函ラに進んだ人はおらず、しかも慣れない寮生活、相当心細い思いをしたのではないでしょうか。結局それから１年足らずで函館転勤、兄は高１の３学期から自宅通学に切り替わりました。
一方私の場合は、函館の公立中学からの進学でしたから、周りに同じ学校の出身者も多く、その点では恵まれていました。事実、今ゆびとまに登録されているＬ校の同級生の中には、中学から一緒だった人も２人程います。ただ、彼等とは中学・高校を通じて一度も同じクラスになったことがありません。
中３当時同じクラスだった生徒の中で、函ラを受験したのは私を入れて６人、そのうち５人合格、更に４人が実際に進学しています。
合格したにも拘らず函ラに行かなかった１人は、不合格に終わった友人との友情を取って、彼と同じ公立高校に進んだのです。我々兄弟がある意味函ラのブランドイメージを取り、合格が決まった時点で併願していた公立高校の受験を辞退したのとは大違いです。
速歩遠足 (2007.06.05)
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高校時代にも「遠足」と名の付く学校行事がありました。
しかしそれは、所謂遠足と言うよりは、むしろ「かち歩き」とでも言うべきものでした。
名付けて「速歩遠足」。
その日は朝早くに、函館市内にある高校から、バスを使って山のほうに入り、南茅部町（現在は函館市に編入）のある中学の校庭でバスを降ろされます。
あとは自分の足で高校まで帰って来い、というのです。
距離にして27�辧�ハーフマラソンより少し長い山道を、走ってでも歩いてでも、ともかく自分の足を使って踏破する訳ですから、体力もさることながら、気力の勝負となります。
途中には５箇所ほどチェックポイントがあって、規定の時間内にそこを通過しないと失格となってしまいます。
直近に大会を控えており、体力を温存させる必要のある選手や、ドクターストップのかかっている生徒を除く全校生徒が参加するこの行事、始めから記録狙いで早々に飛ばす生徒もいれば、私のように、締切時間に間に合いさえすればいいからと始めからマイペースで進む生徒もいます。
幸い私は、３年間参加して一度も脱落したことがありません。
最後まで諦めずに一つのことをやり抜く、という精神力はこの行事で身につけたと思います。
ところでこの行事、教職員からも、やや肥満体型の当時の校長、及び山岳（ワンダーフォーゲル）部の顧問だった教師が毎年参加していました。校長がやはりマイペースで進んでいたのに対し、ワンゲル顧問は流石に普段から鍛えているせいでしょうか、ある年など、彼が当時受け持っていたクラスで１番にゴールするという快挙を成し遂げたほどです。
まあ、裏を返せば、その息子ほどの年恰好である生徒たちがあまりに不甲斐なかったことになる訳ですが…[:汗:]
学校にゴールすると、ＰＴＡ有志による炊き出しの接待が待っています。やはり、一つのことをやり遂げた後だけに、美味しさも一入だったのを覚えています。
今この年になってこの行事に参加しようと思っても、きっと体がついてこないだろうと思います。
函ラに修学旅行がない事情(2007.09.11)
北海道内の高校において、修学旅行の行き先として好まれるのは京都・奈良あたりです。
滅多に道外に出る機会のない道産子にとっては、またとない海外遠征の機会と言えるでしょう。
しかし、私の通っていた高校には、そもそも修学旅行というものがありませんでした。orz
生徒の出身地は道内各地に留まらず、それこそ京都や奈良の周辺から来ている人も少なからずいます。
だから、彼等に遠慮して修学旅行は自粛していると言う理屈も作れそうですが、それでは説得力に欠けます。
ある先生に言わせれば、「そのようなものは、十分な暇のある高校生が行くべきものであって、君達には他になすべきことがある」
なるほど。ではその「他になすべきこと」をした結果はどうでしょう？
鹿児島の兄弟校のように、毎年東大や京大に多数の合格者を出していれば文句なしに「他になすべきこと」の成果があったと言い切れますが、函館の場合は北大がせいぜい（勿論そこも名門ではありますが）、だからその成果も少々疑問視せざるを得ません。
「その分受験旅行に金をかける為」という理屈も成り立ちます。でもそれは「修学旅行がない分受験旅行には金をかけよう」ということだから、むしろ逆です。
それに「大学進学をきっかけに島抜けを試みる」生徒も確かに大勢いますが、その島抜け先が例えば、北海道と気候的にさほど変わらない青森県（弘前大）だったら、あまり島抜けの意味を成しません。確かに本州には変わりありませんが。
その後聞いた話では、実は開校初期にあたる1960年代には修学旅行もあったといいます。しかし、旅行先で他校とトラブルになり、それ以来中止になったとのことです。
そんな風に、何故自分の出身高校には修学旅行がなかったのかと考えているうち、実は１年時にそれに代わるものとして「研修旅行」なるものがあったことを思い出しました。
恐らく、学年全体で遠征する行事は１年のうちに済ませ、あとは「他になすべきこと」に専念させようと言う魂胆だったに違いありません。
とはいえ、実際には２・３年時にも秋の連休を利用して１泊程度のクラス旅行に出かけるクラスもあったことから、修学旅行のなかった高校を選んだ事を後悔した生徒は少なかったのではないでしょうか？
勿論、私も後悔はしていません。
研修旅行（2007.09.12）
では高校時代、修学旅行に替わるものとして行われた研修旅行とは一体どんなものだったのでしょう？
年度によって行き先にも変化があったようですが、私達の年度は函館市郊外にある大沼に出向きました。
初日はバスでまず大沼湖畔（東端・銚子口付近）に向かい、各グループごとに野外炊事、午後からはクラスごとのレクリエーション、夕食後ファイアーストームというスケジュールでした。
炊事は、各班毎に内容を決め、予め調達した材料などを用いて現地で全て調理すると言う趣向で、私達の班では確かすき焼きを作りました。
しかし、男子校ならではの思いがけないハプニングもありました。
これは別な班でのことですが、その時彼等が作っていたのは確か豚汁でした。そろそろダシを入れようという段になり、だしの素の瓶を取り出し、その中身を確認しないまま鍋の中に振り入れました。
実はその瓶には、後始末の為のクレンザーが入っていたのでした。
ダシと間違えてクレンザー、しかしそのグループの皆は誰一人お腹を壊していませんでした。
レクリエーションとして自分達のクラスが行ったのは相撲と騎馬戦でした。他のクラスでも概ね体力勝負のイベントがなされていたようです。
宿泊は二手に分かれていました。一つはメイン会場でもある「ユートピア大沼」（施設自体は今もあるが宿泊は受け付けていない模様）、もう一つはユースホステル「景雲荘」（元はお寺）で、自分達のクラスは初日に後者、２日目に前者を利用しました。後者の部屋は基本的には２段ベッドが立ち並ぶスタイルで、寮生に言わせれば「これじゃ普段と全く変わらない環境」だったそうです。
水泳大会は、競泳記録会と言い換えてもいいようなものですが、実際男だけの水泳大会など盛り上がりに欠けます。
故郷紹介は、各地から生徒が集まると言う利点を生かし、各クラスの代表２名ずつが自分の出身地を写真と共に紹介すると言う趣向でした。
オリエンテーリングは本式のルールに則って行われ、５つのコースの中から各チーム（３〜４人一組）決められたコースを制限時間内に回るというものでした。
全体として、生徒同士の親睦を更に深めるという目的の行事でしたが、それだけの成果があったかどうかは生徒にも依るでしょう。
でも、私にとっても高校時代のいい思い出になったことは間違いありません。
幹事も楽じゃない(2008.01.23)
「道産子とうちゃんウチナーかあちゃん」の「谷地頭（やちがしら）温泉」という、 今は沖縄に住む私の中学時代の同級生が、久々に函館に帰省していたというブログ記事を読んでいて思い出したことがあります。
あれは確か、高１の１月頃の事でした。
ある日私の元に、中３当時私と共にクラス委員をしていたＣ子から電話がかかって来ました。
「今度クラス会をやろうと思うんだけど、会場の手配や女子への出欠の確認は私がやるから、うみがめ君には男子への出欠の確認をお願いするわね」
実はクラス委員といっても、私ははっきり言って名ばかりでした。
何か重要なことは大概Ｃ子が決めてしまい、私はただそれに従うのみだったのです。
ある級友からは「うみがめの奴、Ｃ子の尻に敷かれっぱなしだな」と陰口を叩かれたほどです。
でもそれで助けられたのも事実です。
私はそもそも強力なリーダーシップを持ち合わせておらず、むしろＣ子のほうが独断専行型だったから、それでバランスがとれていたのです。
言われるがままに、私は当時の男子生徒たちに出欠確認の電話をかけまくりました。
出席と返事をしたのは20人中10人程度でした。
欠席と答えた人の中には、中卒後仕事をしていて、そちらのほうがが忙しい人や、中卒後専門学校に通っていて、周りが高校生の中で惨めな思いをしてしまうからと言う理由をつける人もいて、快い返事ばかりじゃないんだなと痛感しました。
会場については、私としては別にかつての母校でも構わなかったのですが、Ｃ子からは函館市内の喫茶店を借り切ることにしたと報告を受けました。
「やはりかつての母校では人が集まりにくいだろうから」というのが理由でした。
クラス会の席上、次の会について誰が幹事をするかという話になり、満場一致で何故かこの私が選ばれてしまいました。orz
やはり、「嫌な事は人任せ」ということだったのでしょう、さすがのＣ子までもが賛成に回ったのです。
でも今となってはその話も立ち消えです。
何より私は函館を離れて四半世紀以上が過ぎました。
だから今更幹事をやるつもりもありません。
ゆびとまに来ればかつての級友が登録しているかもと思ったのですが、実際にはやはり函館を離れてかなり経つ人でした。ただ元記事のように、彼は今でも時折函館に帰省しており、当時の級友とも連絡し合っているそうです。
やはり幹事は、函館に生まれ育ち、今もそこに住んでいる人から選ぶべきでした。
転勤族だった私に頼んだ時点でどうかしています。
百円定食 (2007.04.25)
高校時代の思い出の中から、今回はお昼時について。
寮生の場合は、寮が昼食も用意してくれるのですが、それでも「早く行っていい席とらなくっちゃ」と食堂までダッシュする生徒が殆んどでした。勿論、食事代は寮に払う家賃（と言っていいのかな？）に含まれていました。
一方、自宅や下宿から通学している生徒の場合は、寮とは別に校内にある食堂を利用することになります。あと、パンと牛乳を出張販売に来る業者もいました。
学食のメニューは以下のように固定されていました。（値段は当時のものを記憶に頼って表記）
カレーライス 200円
ラーメン 160円
かけそば 140円（うどんにもできた）
ランチ 220円（月・水・金のみ）
おにぎり 180円（火・木・土のみ）
味噌汁 50円（私が高３の時追加されたメニュー）
実はこれ以外にもいわば裏メニューがありました。
ご飯（と言うよりカレーライスのカレー抜き）とスープ（と言うよりラーメンの麺抜き）、いずれも50円でした。
生徒の中には、小遣い稼ぎの為、このご飯とスープのみを注文する人もたまにいました。
これが所謂「百円定食」です。
とはいえ、育ち盛り・食べ盛りの高校生が、いくら生活のためだからと言って百円定食のみで昼食を済ませることは、栄養摂取の必要性から考えて問題があります。
パンと牛乳だけで済ませるのと大差ありません。
かく言う私はというと、通常は自宅から弁当を持参していました。たまに学食も利用しましたが、百円定食で済ませるようなことはありませんでした。
花見の思い出(2007.04.26)
私が高３のとき、クラスの余興として花見に行ったときの話を。
丁度、私の通っていた高校の裏手に「香雪園」という庭園があり、そこの桜を見に行こうと、昼休みとその前後の授業時間（クラス担任の受け持ち時間だった）を利用して、出かけました。
この時のクラス担任は、生徒とのつながりを何より大切にされた先生でした。そのために、クラス替えして間もない生徒たちとの親睦を深めようと、花見会を企画されたのでしょう。
香雪園とは、函館弁天町で久〆一（きゅうしめいち）岩船呉服店を営んでいた岩船家の別荘として、1898（明治31）年ころにつくられた庭園です。本格的な日本庭園に整備されたのは、1920（大正９）年に京都の庭師を迎えてからのことです。香雪園の名は、大正時代に当時の京都知恩院管長が「雪の中に梅香る園」という意味で名付けられました。
岩船家三代が築きあげた香雪園は、第二次大戦後に農地として転用されかけましたが、市民のための公園にして永く保存したいという嘆願が受理されて、現在までその姿を残すことになりました。1955（昭和30）年に香雪園と隣接のゴルフ場が岩船家から函館市に無償貸与され、「見晴公園」として整備されることが決定、1959（昭和34）年には市が全敷地を買収しました。つまり、元々私有地だった庭園を市民公園として再整備したものです。
桜の木の下では、キャンプ用の固形燃料とジンギスカン鍋（所謂鉄兜）を持ち込んでのジンギスカンパーティーを楽しみました。このジンギスカン、北海道では極めてポピュラーな料理で、このようなアウトドアで楽しむだけでなく、道内では「松尾ジンギスカン」がチェーン展開しており、各種宴会でにぎわっていました。それこそ、本州で焼肉屋がチェーン展開しているような感じです。
大人の場合、ジンギスカンパーティーにはお酒がつきものですが、相手が高校生ではそれもなし、ノンアルコール飲料で乾杯でした。だからでしょうか、副担任の先生は「自分は酒がないと料理を美味しく頂けない」と言って、ただ皆が食べているのを見てるだけでした。（そっちのほうが辛かろうに）
乾杯の時の飲み物ですが、多くの生徒がコーラ（まだ缶入りのお茶は一般的ではなかった）を選ぶ中、私はこれも北海道特有のガラナ飲料を選びました。
ガラナとは、アマゾン川流域原産の植物で、ブラジルでは古くから飲料用に使われていました。現在でもブラジルではコーラに次いでポピュラーな飲み物ですが、日本では戦後、コカコーラの進出に危機感を抱いた中小メーカーによって売り出され、とりわけコカコーラの進出が遅れた北海道では広く愛飲されてきました。
本州のメーカーが廃業していった後も、北海道では根強い人気を保っています。
最近では本州でも、「子供のビール」といった商品名でガラナ飲料が発売されており、その点で考えれば、ビール代わりにガラナで乾杯した私の選択は先見性があったのかな、と思います。
普段「百円定食」(前記事参照）ばかり頼んでいた生徒も、この時ばかりは腹いっぱい肉を食べたようで、用意された肉はたちまちのうちに無くなりました。 ええ、勿論私も堪能しましたよ。
楽しくなければ学祭じゃない (2007.07.17)
私の通っていた高校では、毎年夏休み前のイベントとして学園祭を行っています。
以前は他校と同じ９月頃にしていたのですが、共通一次導入の影響で1978年から現在の７月開催になったとの事です。
元々は文化系クラブの発表の場である文化祭として企画されましたが、やがて各クラスがそれぞれの出し物を引っさげて参加するようになり、今の学園祭へと発展していったそうです。
各クラスの出し物も、当初はかなり独創的なものもあったそうですが、兄の在学していた頃には徐々にお化け屋敷、喫茶店、（自主制作）映画に人気が集中していくようになったそうです。
確かに、男子校であるラサールの生徒にとって学祭とは、他校（特に女子校）の生徒との数少ない交流の場ですから、彼等を惹きつけようと思ったらどうしてもそうした企画に流れがちです。
しかし、そればかりでは正直面白くありません。
そこで私の在学時には、事前調整でお化け屋敷２クラス合同、喫茶店３クラス、映画３クラスと決められました。
で、実際にどのような出し物があったか？それを全て紹介していたのでは長くなりすぎますから、私がいたクラスについてのみご紹介します。
１年次 バッティングセンター
他校の生徒との交流という部分では期待はずれでしたが、彼等と並ぶお得意さんである近所の子供達には人気の出し物となったようです。
２年次 演劇
キリスト教の学校なのに、何故か仏教説話が原作でした。前年度は３クラスが挑戦した演劇でしたが、その年は我々のクラスだけでした。
３年次 ジャズ喫茶
文化系クラブの一つ、ジャズ研究会のメンバーがクラスにいたことから、その全面協力で実現した企画です。写真は、その時に作ったお揃いのＴシャツですが、それをあれから25年以上も経って未だに持っている自分って…
他校の生徒からは、「ラサールの学園祭は異様なまでに盛り上がり、そのくせいつも内輪受け」と批判めいた事も言われていたようですが、私はむしろ「たとえ内輪受けでも自分達が楽しくなければ学園祭なんて面白くない」と思っています。
実際、他校の学園祭を見に行ったこともあるのですが、内輪受けさえ見られない、盛り上がりに欠けたものだった印象でした。
やはりこれは、生徒一人一人が積極的に参加しているか否かの違いでしょう。
一部生徒の「正直学祭なんてどうでもいい。しょう事なしに付き合わされているだけ」という本音は学祭の活気自体に表れているのです。
楽しいばかりが学祭じゃない(2007.07.18)
勿論、祭りだワッショイ的な企画だけが学園祭の呼び物ではありません。
実行委員会が中心となって進める企画展、あるいは講演会や弁論大会（これらは学内のみの公開）も毎年行われています。
企画展のテーマは、一年次が「自己を見つめよう」、二年次が「高校生活をよりよくするために」、そして三年次が「ガラス越しの未来」と題して戦争と平和について考える企画でした。
その三年次の企画展について少し詳しく。
講演に呼ばれるゲストは、例年生徒側が呼びたい人と現実に呼べる人とのギャップが激しく、難しいものがありますが、その年は例年にもなく巨額の（当時のお金で30万）予算をつぎ込み、「東京大空襲」（詳細は画像クリック）など戦争の惨状を記録する著書で知られる作家・早乙女勝元氏を招聘しました。
彼の講演を聴き、ただ口先だけで反戦平和を訴えるのではなく、実体験に基づいて戦争の悲惨さ、愚かさを訴えるその姿勢に感銘を受けました。戦争を通じて人間不信に陥ったとも話しておられました。
反面そんな極限状態でも、他人を思いやる気持ちを持ち続けた人もいたことも話しておられました。
アウシュビッツの収容所。ここで捕虜の処刑を担当するナチスメンバーは、所謂エリート達だった。
ここで脱走者が出ると、１ブロックから10人が選ばれ見せしめの処刑が行われた。
選ばれた一人の男が、「自分は残してきた家族の為に死にたくない」と言って号泣した。
すると、ある一人の囚人が歩み寄ってこう言った。
「私には身寄りがない。だから、その人の身代わりになろう」
コルベ神父の逸話として有名な話です。
講演とともに、10フィート運動で作られた映画の上映も行われました。
広島・長崎に投下された原子爆弾の惨状を記録する映画でしたが、そのあまりのむごたらしさに、同じ会場にいた他校（女子校）の生徒の中には、思わず顔を背けてしまう人もいたほどです。
でもこれは、決して顔を背けてはならない現実です。
その年の企画展は、私の高校在学中では最も意義深いものだったと思います。
いかなる戦争にも大義などありません。国家間の憎しみ合いが高じて戦争になるのです。
そこで多大な犠牲を払うのは常に民衆の側です。
「外国から攻められたらどうするか」と議論するよりも、「攻められない為には…」と議論することのほうが大切なのではないでしょうか。
ミス・ラサール？(2007.07.19)
函館ラサールの学園祭は、例年７月の第３土日に行われていますが、そのうち土曜日の夕方からは「中夜祭」なるものが組まれています。
以前はロケット花火を飛ばして盛り上げる、ということもしていたようですが、負傷者が出たことから私の在学中に行われたことはありませんでした。３年次に至っては、雨の影響で屋外ステージが使えずじまいだったのが悔やまれました。[:泣き:]
ただ、学祭の中で一番盛り上がるイベントであることに変わりはありません。
そこでどのようなことをやっていたかというと、会場に集まった全員が参加するじゃんけん大会やクイズ大会、クラス対抗の一発芸大会などがありましたが、最大の呼び物と言えばやはり「ミス・ラサール・コンテスト」ではなかったかと思います。
「男子校なのにミスコン？」
その疑問、ごもっともです。
その実態は「女装コンテスト」です。
女装コンテストと言えば、大体は「下手な女より女性的」、言葉を変えれば男性から見た理想の女性像を演じる（歌舞伎の女形のようなもの）か、さもなくば受け狙いのキワモノ（お笑い芸人の女装キャラのようなもの）か、その両極端のコントラストが面白い所ですが、それはミス・ラサールでも発揮されていました。
とはいえ、裏では衣装やメイクなどの用意は周到に行われていたそうです。（私が出場したわけではないからあくまで推測）
市内在住の女子高生の協力あっての企画ですが、その出演交渉も難しいものがあったようです。同じ市内にある別な男子校（野球やラグビーで有名な所とだけ言っておこう）と学祭の日程がかち合っていたのが最大の原因でしたが、中には「ラサール生って同性愛の傾向があるから嫌」という偏見を理由に断る人もいたそうです。
そうは言っても、実際にこうした企画が一番盛り上がる以上、これも学祭には必要不可欠の要素ではないでしょうか。