雑学の部屋��
愛を誓い合う日（2009.02.14）
２月14日は言わずと知れたバレンタインデーですが、皆さんはその起源をご存知でしょうか？
日本では単に女性から男性へ愛を告白する日（チョコレートはそのシンボル）という位置付けでしかありません。そのせいか、恋愛感情とは関係なく異性の友人や職場関係者に贈る義理チョコ、あるいは同性の友人に贈る友チョコ、果ては男性から女性に贈る逆チョコなどという、欧米から見れば特殊としか映らない習慣が次々と登場しているように思います。
さてそもそも、２月14日は古代ローマで言うジュノー（Juno・ローマ神話の女神）の祝日でした。ジュノーは家庭と結婚を司る神であり、６月（June）の語源ともなっています。ジューンブライドには「６月に結婚する花嫁はジュノーのご加護により幸せが訪れる」という故事があったのですね。
翌15日はルペルカリア祭と言って、豊年を祈願する祭りの初日に当たりました。
当時若い男たちと娘たちは生活の場所が全く別でした。祭りの前日、娘たちは紙に名前を書いた札を桶の中に入れるのが慣わしでした。翌日、男たちは桶から札を１枚ひいて、ひいた男と札の名の娘は、祭りの間パートナーとして一緒にいることという決まりでした。そして多くのパートナーたちはそのまま恋に落ち、結ばれたとの事です。
ローマ帝国の皇帝・クラウディウス２世は、愛する人を故郷に残した兵士がいると士気が下がると考え、ローマでの兵士の結婚を禁じました。これに反発したキリスト教司祭・聖バレンタインは秘密裏に兵士を結婚させたのですが、それが見つかり、捕らえられ、ジュノーの祝日にしてルペルカリア祭の前日に当たる２月14日に処刑されました。祭に捧げる生贄とされたのですね。
ただこの逸話には歴史的背景があって、初期のローマ教会は、当時の祭事から異教の要素を排除しようと努力していました。その中で、ルペルカリア祭も排除すべきものとされましたが、ただ禁止しても反発を招くだけであったため、教会にはこの祭りに何かキリスト教に由来する理由をつける必要がありました。そこで兵士の結婚のために殉教したとされるバレンタイン司教の助けを借りることにしたのだそうです。
こうしてキリスト教以前からあったルペルカリア祭は、バレンタイン由来の祭りであると解釈を変更され、祭りはその後も続けられました。前述のくじ引きでパートナーを選ぶ話も、ローマの宗教行事は野蛮であるという印象を与えるために初期キリスト教会によって創作されたものという説もあります。
どうもわが国では、バレンタインデー本来の趣旨を逸脱した、菓子業界の商魂に乗せられる日というイメージがいつの間にか定着してしまったようです。
そうは言っても、写真のようなバレンタインケーキを贈られると、やはり嬉しいものです。
因みにこれは、エクレアシューを基に作られたものですが、私から読者の皆さんへ愛を込めて、写真だけですがプレゼントとします。
コメント欄から
○わぁ〜、とっても美味しそうなケーキ！これはうみがめさんお一人で食べるんですか？きっと奥様と半分ずつでしょうねえ？うちは殆ど私が食べます。 （りひりひ）
●お察しの通り、独り占めなど致しません。
これは妻が選んだもので、彼女自身へのご褒美も兼ねているのです。 （うみがめ）
○うちは数年前から名古屋の人間なら誰でも知ってる、 satieの 生チョコを主人の分、義父母の分、そして「自分チョコ」 として買っています
見た目はハートのケーキも捨てがたいのですが…satieの味を知ってしまっているのでGODIVAだろうがベルギーの高級チョコであろうが…
やっぱりしぶとくsatieの生チョコを食べてしまう私なのでした。。。美味しいですよ（猛獣使い）
●ＨＰを見たところ、そのお店は名古屋が本店というだけで東京にも出店していますね。
機会があれば私も購入してみたいです。（うみがめ）
○私も毎年、主人と息子と娘にチョコあげてます。
因みに主人は仕事で居ませんが・・・（かな）
●そういえば、今日（14日）はたまたま土曜当番に当たっていた関係か、職場関係者からもチョコバウムクーヘンを頂きました。
しかも妻の分と合わせて２個入っていました。（うみがめ）
○美味しそうですね！
私は、剣道教室と中学校剣道部 の女子生徒から可愛い義理チョコ をたくさんいただきました。
お返しが大変です（笑）。 （防人）
●まあ、たとえ義理と分かっていても、お返しはしないと義理が廃る、ついそんな風に考えてしまうのも日本的なのかもしれませんね。（うみがめ）
○エクレアシュー大好きです
しかし、これはとても可愛いエクレアシューですね♪
バレンタインの本来の意味はよく理解できました。
それに反して、変な習慣が広がるものですね。
ちなみに、私は前日にやっぱり…一応、チョコと他にプレゼントしました^^;（実夢）
●これは今週の火曜（10日）に、高知県西部の須崎市にある菓子店に行ったとき偶然見つけたものです。
通常のエクレアシューの２個分はあるかと思います。
勿論美味しく頂きましたよ。（うみがめ）
○美味しそう( ´艸`)デヘッ
なんでも、由来が大切ですよね＾＾ （ま〜ま）
●今回その起源にまで遡ってみようと思ったきっかけは、逆チョコなるものが提唱されたからでした。
バレンタインデーの本来が男女を問わず愛を告白する日であることを考えれば、何もあえて逆チョコと言う必要はない訳で…（うみがめ）
○つまり逆チョコっていうことは 由来からすれば嫌いって 告白するっていう意味？？（ま〜ま）
●我が国ではバレンタインを女性から男性への愛の告白日と位置付けていることから、逆チョコとはつまり男から女への愛の告白ということなんですが、なるほど、そんな解釈もありかもしれませんね。（うみがめ）
○菓子業界の商売に乗せられてると わかっていても、いただけたら、 やっぱり嬉しいもんですよね。（クルー）
●まあ、贈り物は本来価格よりも気持ち、ということを言いたかったのです。頂けたら純粋に嬉しいのは私も同じです。 （うみがめ）
○うみがめさん、今回もとても 勉強になりました。
可愛くて、美味しそうなお菓子ですね。
目で楽しませて頂きました。 有難うございます。（かぶ）
●あと昨日（13日）は、市販の板チョコを牛乳で溶いて温め、それを果物などに絡めるチョコフォンデュを頂きました。（うみがめ）
ホワイトデー雑感(2008.03.14)
（上記記事に関連して）
３月14日はバレンタインの返礼をする日、所謂ホワイトデーですが、一体いつ頃からこうした日が定着したのでしょうか？
そもそも、バレンタインデーを男女を問わず愛を告白する日と位置付けている欧米にはそのような習慣はありません。
いわば日本独自の習慣ですが、現在では韓国や台湾にも輸出されたイベントとなっています。
最初は純粋に、「プレゼントを貰ったら貰いっ放しでは義理が廃る」と言う発想から、バレンタインの一か月後を返礼の日としたのですが、それにかこつけて販売促進を目論んだのが全国飴菓子工業協同組合でした。
キャンディの原材料である砂糖は白いことから「ホワイトデー」という呼び名が生まれたのですが、その第１回が行われたのは1980年のことでした。
一方これとは別に、1977年には福岡の老舗菓子店が白いマシュマロをバレンタインの返礼用に売り出した、という記録もあり、こうした動きは各業界で個別になされていたことがわかります。
バブルの頃には「バレンタインの返礼は３倍にするのが礼儀」とよく言われたものですが、一体３倍返しに何の根拠があるでしょう？
贈り物とは本来、気持ちの問題であって、高額のものを贈ったからといって気持ちがこもっているとは限りません。結局こうした風潮は、世の女性達に「安物を贈って釣り上げた男にとことん貢がせる」という誤った価値観を植え付けるだけだと思います。
結局、貢ぐほうも貢がれるほうも、商魂たくましい連中に踊らされてるだけなのです。
かく言う私は例年、職場関係者からの義理チョコへの返礼をちゃんとしています。
金額ではなく、あくまでも気持ちです。
その名もブラックデー。
４月14日に、バレンタインデーやホワイトデーを過ぎても恋人ができなかった人達が黒い服を着て集まり、チャジャン麺(韓国風ジャージャー麺)やブラックコーヒーを飲食するのだそうです。
同じ日、日本でも「２人の愛を確かなものにする日で、オレンジまたはオレンジ色のプレゼントを持って相手を訪問する日」としてオレンジデーが提唱されています。
更にこれも韓国では、５月14日をイエローデーとして、「ブラックデーが過ぎても恋人ができなかった男性は、この日に黄色い服を着てカレーライスを食べないと恋人ができない」と言われていたり、またローズデーとして恋人同士で薔薇の花束を贈りあうという習慣もあるそうです。
しかしここまで来ると、単なる便乗としか言いようがありません。
バレンタインデー本来の意義がだんだん捻じ曲げられているように感じるのは私だけでしょうか？
コメント欄から
○＊＊＊ 商魂たくましい連中に踊らされてるだけなのです。＊＊＊
◎まったくその通りと私も思いますね。
乗る方も乗る方ですけど、日本人特有の みんなで渡れば怖くない・・・集団心理でしょうか〜。
ほんとに気持ちをこめて、好きあう同士なら なんの異論もないのですがね。
※欧米ではバレンタインの日に男女同時に贈る・・・
このような習慣もあるようですね。（liuring）
●集団心理ですか、確かにそれもあるかもしれません。
殊にマスコミに喧伝されると、人々は弱いようで…（うみがめ）
○マスコミとか、流行に敏感な日本人的な習慣ですよね。
まず、男女を分けると言うところから、日本的です。
そして、義理とか本命とかも日本的ですよね。
このような悪い習慣が輸出されているのもどうかと思いますけど・・。
何のためのバレンタインデーなのか、本末転倒なのでした。 （Colour）
●そう言われてみればそうですね。
そもそも、男女の別なくプレゼントを贈りあう日が、我が国では女性からのプレゼントの日にされたこと自体おかしいのですよね。（うみがめ）
○ローズ・デーって素敵ですね。お互いにバラの花を贈りあうなんて。
自分のためにバラの花を買ってもいいですね。たまには、ロマンチックな気分で過ごすのも悪くないですね。（ナナ）
●確かに、互いの愛情を深め合う意味で、プレゼントを贈りあうこと自体はいいことです。
でもそれなら別に毎月14日と決めなくても構わないのですが…（うみがめ）
○便乗商法に惑わされず今は、手作りの時代。
ただし、親がホワイトデー。（seaヤン）
●確かにログを巡回していて、「教え子[:男の子:]から手作りクッキーを頂いた」という記事や、「息子が持っていくクッキーを作る手伝いをした」という記事を目にしました。
高価なプレゼントよりも、このほうが余程心がこもっていると思います。（うみがめ）
○確かに！お返しは金額ではなく 気持ちですよね。
わたしも企業の審査に廻っているときは 会社の女の子たちからチョコを貰った ばっかりに御返しに苦労しました。（防人）
●確かに、いかにも安物と分かるものでは、相手を低く見ていると誤解されますし、あまり高価なものではこちらの懐が痛むし、一般に返礼選びは難しいものがあります。（うみがめ）
○チョコやクッキーやキャンデーなど お菓子業界の戦略だったりして（かな）
●それを言ったらそれまでですが、確かにそんな側面はあるでしょう。（うみがめ）
○オレンジデーにブラックデー、イエローデーに・・・
いっぱいあるんですね。 知りませんでした。
週末になると黄色く染まるわたし。
男性じゃないからカレー食べてもだめなのかなぁ・・・（PEKO）
●実は私も、ある菓子店のメルマガにブラックデーのことが書いてあったのを読んで、「へえ、そんな日があったんだ」と思って調べたところ、それだけではなかったことを知った次第です。（うみがめ）
土佐の酒宴で見た遊び（2009.03.07）
例年３月ごろ、高知の観光開きを飾る祭りとして「土佐のおきゃく」というイベントが行われています。
おきゃくとは土佐の言葉で宴会のことですが、その土佐のおきゃくにつきものなのが酒を仲立ちとしたお遊びではないでしょうか。
とりわけ、箸拳は土佐のお座敷遊びとしてよく知られています。
これは、向かい合った二人がお互いに、朱塗りの箸を相手に見えないように突き出し、その合計の数を言い当て、負けたほうが罰として酒を飲むというお遊びです。
実は私も一度やったことがあります。
確か大学時代に、泊りがけの宴会に参加したのですが、そこで地元出身の学生にルールを教わりながら箸拳遊びに興じたのでした。ただこの時は朱塗りの箸ではなく、手近にあった割り箸を使いましたが。
詳しいルールは次の通りです。
まず、対戦する２名が箸を３本持ち、向かい合います。
先攻後攻を決めたら、お互い両手を後ろに回します。これで相手からは手元が見えなくなります。
後攻の人は、何本かを握って（０でもよい）「いらっしゃい」と言いながら相手に見えないようにその手を突き出します。
先攻の人は相手の数を予想し、合わせて３本になるよう箸を握り、やはり相手に見えないよう「３本」と言いながらその手を突き出します。
続いて後攻の人が合計を予想しその数字を言うのですが、その場合先攻と同じ数や偶数は言えない決まりになっています。つまり「１本」「５本」の何れかになるわけです。
両者手を開いて箸を見せ合い、その合計を数えて当たっていたほうが勝ちとなります。双方はずれなら、攻守ところを変えて続けます。
３本勝負で、先に２勝したほうが勝者となります。 敗者は中央に置かれた杯に入れられた酒を飲み干します。
とはいえ、勝ったほうも後で祝杯を上げることになるから、結局は勝っても負けても酒が飲めるのです。
例年、日本酒の日に当たる10月１日に高知酒造組合の主催で大会も行われているとのことです。
勿論、酒を仲立ちにしなくても十分楽しめますので、気の会った仲間同士で箸拳に興じてみてはいかがでしょう？
コメント欄から
○箸拳って、京都のお座敷遊びみたいな感じですね。
箸拳のあとは、酔拳ですね。（クルー）
●調べたところ、箸拳のルーツは鹿児島あたりに江戸時代初期から伝わる薩摩拳とのことです。それが幕末の頃に土佐に伝来したとのことです。（うみがめ）
○三月は花見で酒が飲めるぞ
酒が飲める飲めるぞ酒が飲めるぞ♪ （さっちゃん☆）
●まあ、現実には花見酒は４月ごろのことでしょうが…（うみがめ）
○どこで教わったのか？息子がふざけて娘と京遊びごっこしてました
お酒が入るほど楽しいんでしょうね〜（かな）
●それはあるかもしれません。
高知の酒席でのお遊びにはほかにも「べく杯」と言って飲み干すまでは置くことが出来ない杯（天狗の形をしていたり、穴が開いていたり）を使ったものもあります。 （うみがめ）
○ま、お酒が飲めるってことでグッ!! (￣ε￣〃)b
洒落っ気のある遊び、大好きです( ´艸｀)デヘッ （ま〜ま）
●で、私の戦績ですが、確か負けのほうが多かったように思います。orz
酒はともかく、勝負運は強くないほうです。 （うみがめ）
○土佐の鯨は大とらで......さすが「鯨海酔候」のお国柄ですね。
箸拳というのは鹿児島が発祥の地と書いておられますが、 お隣の国熊本は人吉にも『球磨拳』という宴席でのお遊びがあって、 これも箸を使って独特のリズムに乗りながら、お酒の飲みっぷりを競うお遊びがありました。
みずなすは見ているほうでしたが……。（みずなす）
●調べたところ、球磨拳とはじゃんけんの原点とも言うべきお遊びとのことです。
ただ、一般的なじゃんけんとは勝敗が逆（つまりグー＜チョキ＜パー＜グー）という特徴があります。指の数が多いほうが勝ちと言う基本ルールによるとのことです。（うみがめ）
政令指定都市（2009.04.01）
新年度に合わせ、新たな制度があちこちで始まりますが、実は2009年４月１日付で岡山市が政令指定都市に昇格しました。
指定都市には一般に100万都市というイメージがありますが、岡山市の人口は70万人と少々少ない気がします。とはいえ、地方自治法では指定都市の人口を50万人以上と定めており、その用件は満たしていることになります。
そもそも、岡山市が指定都市構想を描き始めたのは1960年代まで遡ります。
近隣の市町村を巻き込んだ「岡山県南百万都市建設計画」という壮大な計画でしたが、倉敷市が強硬に反発したことから、この計画は頓挫してしまいます。
その後、高度経済成長によって岡山市周辺のベッドタウン化が急速に進行、70年代半ばまでに11の市町村を吸収合併した岡山市は、その時点で人口50万人を突破、指定都市の要件を満たしました。
具体的に話が進んだのは2002年、岡山市と玉野市など２市２町による合併協議会の結成がきっかけでした。しかし玉野市は、議会と住民の同意を得られず2004年に協議会を離脱、残る灘崎・御津の２町が2005年に岡山市に併合されました。
その後、他の自治体との合併を目論んでいた建部・瀬戸の両町が岡山市との合併へ方針転換、こちらは2007年に実現を見ました。
かくして、岡山市の人口は70万人を突破、指定都市への道筋が整ったわけです。
その後1963年に北九州市、72年に札幌・川崎・福岡の各市、80年に広島市、89（Ｈ１）年に仙台市、92年に千葉市、2003年にさいたま市が指定都市の仲間入りをしました。これらは、先行する指定都市と同格（人口が百万人前後）とみなされた時点で指定を受けたのでした。
平成の大合併に合わせて市町村合併をした都市には、期間を限って「近い将来人口百万人を超える見込みがない」場合でも指定都市への道が開かれました。
2005（Ｈ17）年の静岡市、06年の堺市、07年の新潟・浜松両市、そして今回の岡山市は、このようにして指定都市となったのでした。
現在、相模原市や熊本市も将来の指定都市移行へ向けて準備を進めており、都道府県とほぼ同格とされる政令指定都市への移行は地方の中核都市にとっては一つの魅力となっているようです。
このことが住民にとってよりきめの細かなサービスにつながることを期待したいと思います。
コメント欄から
○岡山の知り合いに尋ねたところ 岡山市としては近隣周辺の町村を統合して やっとのこと政令指定都市になったそうです。
政令指定都市になってメリットは？―と尋ねますと 統合された町村の役所が無くなったり 書類の統一で余計なお金がかかったり……
潤っているのは元の岡山市だけじゃないのかな〜 ―などと言っておりました。
政令指定都市になるとどのようなメリットがあり どのようなデメリットが発生するのか？
そのような説明はやはり必要ではないでしょうか？ （みずなす）
●メリットとしては、本文にも書いたように都道府県と同じ権限が与えられること（道路管理や予算陳情を県に代わってできる）が挙げられます。とはいえ、確かにこれらは住民生活に直結するとは限らず、その効果を実感するのは難しいかもしれません。（うみがめ）
セブン・ライターズ（2009.04.22）
衆院選を前に、マニフェスト（政権公約）作成に当たる自民党幹部が国政選挙での世襲候補の立候補を制限する、との方針を定めたことについて、彼等自身二世・三世議員である閣僚から異論が相次いでいる。
曰く、「制限を加えるなんて、憲法が定める職業選択の自由に反する」「世襲が全ていけないなんて不合理だ」「仕事内容を見てから評価してくれ」…
なるほど、彼等の言い分は正論だ。
私自身、世襲議員が全て駄目とは思わない。たとえどんなに血筋のいい政治家の家系に生まれても、仕事面で成果が上げられなければ、選挙で再選されることはない。
ただ、それを野放しにしていては、血筋も資金もない一般の人が政治の世界に挑戦する機会を奪うことにもなりかねない。
だから、ある程度の制限は止むを得ないと思う。
例えば、親と同じ選挙区からの立候補を禁止するといった制限は加えるべきではないだろうか。
「地盤・看板・カバン」の所謂３バンを親からそっくり譲り受ければ確かに楽かもしれないが、それが結果的に労せずして当選できるという安心感につながるからだ。第一、親の七光りに乗っかって立候補しても、ろくな結果にならない。
親とは異なる選挙区で、全てゼロからのスタートとすれば、世襲でない候補者と全く同じ条件での選挙戦を展開できるはずだ。
ところで、政界以外にも二世・三世が幅を利かせる職種は存在する。
芸能界と医療界である。
元々、歌舞伎や能楽、落語などの伝承芸においては世襲が当たり前だったのだが、今時はそれ以外の分野でも親の七光りで有名になったタレントは枚挙に暇がない。
しかし、七光りだけで芸能界を生き残れるほど世間は甘くない。実力が伴わなければ、転落の道を歩んでしまう。某俳優の息子が薬物の不法所持で逮捕されたが、彼もまた七光り以上の実力を発揮できなかった結果であろう。
医療界を見ても、医学部の学費は他学部に比べ高く、それに入学するために掛かる費用も膨大で、そもそも多額の投資をしなければ医学部には入れないという現状がある。
それだけ潤沢な資金のある家と言えば、開業医や大学教授などの社会的地位の高い家系となってしまい、結果医師の世界も二世が幅を利かせることになってしまう。
私自身、「親御さんもお医者さんですか？」とよく聞かれるが、これではまるで、医者の息子や娘以外は医者になれないと決め付けているようなものだ。私が「いいえ」と答えると相手は大概驚くが、むしろそちらのほうが私には驚きだ。
こんな風に、あちこちに七光り族(seven lighters)がはびこる現状はどうにかならないものだろうか？
コメント欄から
○先日、公務員勤めから転身！医学部に進んだ２８歳の方にお会いしました！！
なんでも、医師不足のニュースを聞いて 医学の道を選んだそうです。
ウチは、こんな人がいるなら 日本もまだまだ捨てたもんじゃないなぁ? と思いました！！
ガンバレ！未来の医療人！！ （ま〜ま）
●医師不足解消に貢献したいと一念発起ですか、それは頼もしい限りですね。きっと、代々医者してたという人とはモチベーションも違うことでしょう。（うみがめ）
○一子相伝とかもありますからねぇ・・。
和菓子職人とか、ガラス工芸や和箪笥職人とかは、子供が弟子入りしても、きっちり教えますからね。
楽に、親の地位になったり、 技術がないのに、先生と呼ばれたりは、 やっぱり、頂けないですね。（Colour）
●仰る通りです。
結局、親の七光りを利用したがる人は、それ以外にセールスポイントがないからに他なりません。（うみがめ）
○麻生首相の地元がグループ企業に支配されていて麻生首相に反旗をひるがえすことがむずかしい状況をかんがえると地盤の制限はやむをえないような気がします。
>某俳優の息子が薬物の不法所持で 逮捕されたが、
Ｎ・Ｍ氏とその長男のことでしょうが、マスコミの鬼の首をとったかのような大麻報道は冷静な大麻議論や薬物使用者の社会復帰の妨げになるだけです。 （Piichan）
●私としてもＮ氏の御子息には一日も早く立ち直って頂きたいと思います。 （うみがめ）