音盤話��
耳で楽しむスポーツの秋(2006.10.21)
タイトルは「スポーツの秋」となっていますが、実際には季節を問わず楽しめるＣＤをご紹介します。
私の手元にあるのは「スポーツマーチ傑作集」というタイトルで、画像にあるのとは実はタイトルもジャケットデザインも違います。
ただ、画像クリックで表示される全23曲のうち日本人の作曲による１〜19は手元のＣＤにも収められており（因みに手元では他に収められた３曲も日本人の作）、ほぼ同じ商品と判断しました。
曲目を見て、既にお解りの方もいるかと思いますが、かつてテレビのスポーツ中継でよく耳にした各局毎のテーマ曲が収録されているのが目に付きます。
ＮＨＫの「スポーツショー行進曲」（古関裕而曲）、日本テレビの「スポーツ行進曲」（黛敏郎曲）、ＴＢＳの「コバルトの空」（レイモンド服部曲）、フジテレビの「スポーツテーマ」（新田一郎曲）、テレビ朝日の「朝日に栄光あれ」（神津善行曲）、といった具合です。
その次の「スポーツマン」（服部曲）もテレ朝の前身・ＮＥＴのスポーツテーマでしたし、また画像のＣＤにはかつてフジのスポーツテーマだった"Lights out"（邦題「消燈」、マッコイ曲）も収められています。
ただ、テレビ東京の「パープルページェント」については、全国的な知名度が低いからでしょうか、どちらにも収録されておらず、その点残念です。
残念と言えば、今時はテレビのスポーツ中継を観ていても、こうしたテーマ曲が（特に民放では）流れなくなりましたね。
この他にも、東京・札幌両オリンピックのファンファーレと入場行進曲、高校野球でお馴染み「栄冠は君に輝く」（古関曲）、大学野球から生まれた「コンバットマーチ」（三木・牛島曲）「ダッシュＫＥＩＯ」（夏目清史曲）、競馬関係では「サラブレッドマーチ」（渡辺岳夫曲）と多彩な選曲となっています。
演奏は陸・海・空各自衛隊の中央音楽隊となっています。
実は兄が中学・高校と吹奏楽部にいた影響か、吹奏楽の演奏会にも結構行く機会がありました。ブラスの響きはやはり元気が出ますね。
気分はライブハウス （2008.05.12）
VARIOUS/LIVING ROOM:LIVE IN NYC VOL.1 ： ヴァリアス/リヴィン...
ライブハウスという空間は、有名無名のミュージシャンが集い、聴衆とごく近い距離で歌や演奏を聴かせるところ、私にはそんなイメージがあります。
今回ご紹介するのは、そんなライブハウスの雰囲気を家にいながらにして楽しめるＣＤ"The Living Room: Live in NYC, Vol. 1"です。（詳細は上記リンクをクリック）
まず登場するのがNorah Jones（ノラ・ジョーンズ）です。
彼女はニューヨーク生まれのテキサス育ちで、幼い頃から音楽に興味をもち、高校在学中にダウンビート学生音楽賞の最優秀ジャズヴォーカリスト賞と最優秀オリジナル作曲賞に輝き、注目を集めます。
大学時代に訪れたニューヨークのライブハウス「ザ・リビングルーム」で演奏するミュージシャンの魅力に触れ、そのまま大学には戻らずに、曲作りを始めます。
2002年、ジャズの名門・ブルーノートレコードからプロデビュー、その年には早くも来日公演もしています。 実はこのＣＤも2002年に、彼女にとって思い入れの深いリビングルームでのライブを収録したもの、当時22歳とは思えない堂々とした歌と演奏を聴かせています。
続いて、そのノラの成功の立役者の一人、Jesse Harris（ジェシー・ハリス）の登場です。
彼は元々作家志願でしたが、10代半ばからギターを始め、それに伴って曲作りや人前での演奏をしているうちにミュージシャンとなったそうです。
90年代中ごろには「ワンス・ブルー」というバンドでメジャーデビューを果たしますが、97年にバンドは解散、その後は地道に活動を続けていました。
98年にノラと知り合い、そのバンドのメンバーとして活動を始めます。彼女のデビューアルバムに楽曲を提供、それがグラミー賞を取ったことで一躍有名になりました。
彼自身も現在ソロミュージシャンとして活動、2006・07年には来日公演もしています。
続いてのMalcolm Holcombe（マルコム・ホルコム）は、ノースカロライナのブルーリッヂマウンテンに拠点を構えるシンガーソングライターで、その渋い歌声が魅力です。
続くRachel Loshakは、実はグラミーの授賞式でノラをバックアップした人物ですが、その透明感のある歌声が魅力です。
しんがりはChris Moore、この人については、モダンフォークあるいはオルタナティブカントリーのミュージシャンであること以外、調べがつきませんでした。
ライブハウスの息吹が直接伝わってきそうなＣＤです。
愛は何色？(2008.06.01)
恋愛感情は様々な色に例えられます。
情熱の赤、憂鬱の青、あるいは華やぐピンク…
そうした感情の機微を上手く表現している歌手の一人がセリーヌ・ディオンではないかと思います。
彼女はカナダ・ケベック州に14人兄弟の末っ子として生まれ、幼い頃から才能を発揮していたといいます。1981年、当時12歳にしてフランス語圏の歌手として活動を始めましたが、実はこの翌年に初来日を果たしています。ヤマハ主催の世界歌謡祭出場の為ですが、実はこのとき金賞に輝いています。
91年に英語圏の音楽シーンに登場してからは、「美女と野獣」「タイタニック」などの映画で主題歌を手掛け、地位を不動のものにしました。実は以前紹介した葉加瀬太郎も、彼のいたグループ「クライズラー＆カンパニー」がセリーヌのバックメンバーを務めた縁で、彼女のワールドツアーに参加しています。
ご紹介する「ラヴ・ストーリーズ」（原題：The Colour of My Love＝私の愛の色）は、セリーヌにとって通算18枚目、英語の歌としては３枚目となるもので、1993年の発売です。（詳細は画像クリック）
収録曲の中で、「めぐり逢えたら・愛のテーマ」はこれも映画「めぐり逢えたら」の主題歌、また「パワー・オブ・ラヴ」は85年にジェニファー・ラッシュが歌ったヒット曲のリメイクで、彼女はこの２曲でグラミー賞を取っています。
実はこの頃、彼女の音楽的才能を発掘し、デビューの頃からそのマネージャーを務めているレネ・アンジェリルが、彼女の人生の伴侶ともなっており、それを念頭において聴き直すと、このＣＤにはそうしたセリーヌの内面が良く表現されているように感じました。
因みに、アンジェリル氏は1999年に皮膚癌を患われましたがそれを見事に克服、二人の間には2001年に息子さんも生まれています。（参考リンク）
今熱愛中という方は勿論、そうでない方の心にもきっと響くものがあることでしょう。
昭和の歌姫よ永遠なれ (2008.06.21)
昭和という時代を代表する歌姫は誰かと言われ、美空ひばりの名を真っ先に思い出される方は多いことでしょう。
昭和24年（1949）にわずか11歳でプロデビューしてから、昭和が終わった年（1989）に亡くなるまで、レコーディングした曲は通算1500曲、そのうちオリジナルは517曲を数え、レコード売り上げは累計8000万枚に達するというから、正に「歌謡界の女王」と呼ぶに相応しい人物と言えるでしょう。
ただ、デビュー当時はその人並み外れた歌唱力からか、「子供らしくない」と批判的な見方をされていたようです。
しかし一方で、同世代を中心とする多くのファンを獲得、かつては批判的だった人達も彼女の才能を認めざるを得なくなりました。
実は、私の母も妻の母も大のひばりファンだったといいます。
特に私の母は、デビュー間もない頃のひばりのレコードを購入したほどでした。そのレコードは確か母の実家で保管されていたのですが、まだあるのでしょうか？
そんなひばりのレパートリーは、演歌や歌謡曲に留まりません。
洋楽カバーのレコードも結構出しているのですが、その中の一点が私の手元にもあります。２枚組ＣＤですが、そのうちの１枚は画像で紹介しているＣＤと収録曲は全く同じです。（詳細は画像クリック）
ここでは、ジャズやシャンソンなどの洋楽スタンダードを自在に歌いこなしていて、しかもそれらを完璧に自分のものにしており、ただただ驚くばかりです。
実はひばりは、生涯楽譜が読めず、音階はすべて耳から覚えていたといいます。それでも、一度音を弾いてもらえば、それを完璧に歌いこなせたというから、ただただ驚くばかりです。
英語の発音も、それを音として捉え覚えることで、ネイティブスピーカーに負けないものになっており、やはり天賦の才能のなせる技だと思いました。
因みに、手元のＣＤの１枚目の曲目はリンク先の通りですが、２枚目に収められているのは次の16曲です。
ラヴ
魅惑のワルツ
歩いて帰ろう
トゥ・ヤング
ペイパー・ムーン
プリテンド
月光価千金
ロンリー・ワン
夕日に赤い帆
ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス
匕首（あいくち）マック
愛の讃歌
エル・チョクロ（ＳＰ原盤）
ククルクク・パロマ
ラ・ノビア
マイ・ウェイ（ライブバージョン）
こちらにはジャズやシャンソンに加え、ラテンナンバーも入っているのですが、独特のこぶしを利かせながら歌うラテンもまた味があります。
最後の「マイウェイ」は、自身の最晩年のヒット曲「川の流れのように」を彷彿とさせる熱唱でした。
美空ひばりに対して先入観を抱いている人にこそ聴いて頂きたい作品です。
スラックキー・ギターに魅せられた日本人（2008.07.05）
夏に向けてハワイアン・ミュージックを聴きたくなるという方も多いことでしょう。
ハワイアン・ミュージックを象徴する楽器と言えばウクレレを思い出す方は多いでしょうが、今回ご紹介するＣＤではスラックキー・ギターが使われています。
スラックキー・ギターとは、別にそういう種類の楽器があるわけではなく、普通のギターを我流のチューニング（調弦）で弾くことを言います。メキシコから呼び寄せたカウボーイがハワイにもたらしたギターを、現地の人々が全くの我流で調弦して楽しんだことが、Slack（緩める）Key（調律）と呼ばれる所以です。
長らくその奏法は秘伝とされていましたが、1970年代にギャビー・パヒヌイによって広められたことで多くの人が知るところとなりました。
そのスラックキー・ギターに魅せられた日本人が、山内雄喜氏（1948生）です。
彼は少年時代からハワイアンに興味を持ち、大学在学中からスチールギター奏者として活動を始めました。やがてスラックキーの素朴な味わいに惹かれ、独学で学び始めます。
大学卒業後ハワイに渡った彼は、レイ・カーネに師事し、スラックキーの奥義を極めます。帰国後は、家業のこんにゃく屋を継ぐ傍らバンド活動を行い、1977年には日本人として初めてハワイのラジオ放送・ＫＣＣＮの番組に出演し、注目を集めます。
翌年、ファーストアルバムを発売、また本邦初となるスラックキーの教則本を出版、我が国にスラックキー・ギターの存在を知らしめます。
現在では、後進の指導に当たる他、ハワイアンミュージックに関する知識を生かした執筆活動、また様々なミュージシャンとの共演など多方面で活躍しています。
そんな共演（コラボレーション）の数々を集めたのが、「ハワイアン・コラボレーション」です。
KONISHIKIと組んだ「アロハ・ナナクリ」に始まって、自ら歌も聴かせる「たからもの」、サンディーと組んだ「真夏の果実」、更に師匠のカーネと組んだ「マイカイ・ノー・ブルース」、その妻・イローディアが英語とハワイ語で歌う「アメイジング・グレイス」、ウクレレ・スチールギター・スラックキーを駆使した多重録音による「カヴァティーナ」、そして彼のコンサートの最後で必ず演奏されるという「ハワイ・アロハ」（カーネ夫妻とサンディーはここにも参加）など15曲が収められています。
じめじめした日に聴けば気持ちだけでも晴れやかに、快晴の日に聴けば更に爽快感が増す、そんなＣＤに仕上がっています。
小室サウンドも今や懐メロ(2008.07.13)
歌手のhitomiさんが結婚・妊娠を公表したことは私にとって驚きでした。彼女にとってはこれが２度目の結婚になります。
最初の結婚（2002〜07）からしばらくの間病気もあって休業、しかし復帰後は歌以外に役者としても活動し、今のご主人とは舞台での共演を機に愛を育んだとの事です。どうか末永くお幸せに。
(追記）
彼女は2008年12月23日に出産、その後発表したＣＤのジャケットや写真集で見せた妊婦ヌードも話題になりました。
その「GO TO THE TOP」は彼女のファーストアルバムで、1995年の発売です。彼女と小室哲哉氏がプロデュースし、全曲彼女自身の作詞、小室氏が10曲中６曲の作曲を手掛けています。
デビューして間もない頃の作品だけに、多少荒削りの感は否めませんが、モデル出身だけにビジュアル面では小室ファミリーの中でも群を抜いていたし、また自身の手掛けた歌詞は同年代の女性の気持ちを等身大に表現しているように感じました。
ただ彼女自身、当時は「自分は小室ファミリーの落ちこぼれだ[:汗:]」とやや自虐気味に話していたそうで、思うほど大ヒットが出ないことを気にしていたようです。その後、小室氏の管理を離れてからは、他のファミリー（元も含め）が売上を乱高下させているのに対し、コンスタントにヒットを飛ばしています。マラソンの高橋尚子選手がトレーニングの合間に彼女の曲をよく聴いていたというエピソードも有名ですね。
つくづく年月は残酷だと思いました。
オリンピックでよく聴く曲達（2008.08.10）
オリンピックの表彰式といえば、優勝した選手が所属する国や地域の旗が掲揚され、その国や地域の歌が吹奏される、そんなシーンを思い出す方は多いことでしょう。
確かに頑張ったのは選手個人ですが、一方で彼等はそれぞれの国や地域を代表して出場しているという側面もあり、その栄誉を称えようと思えば、その選手が所属する国や地域の旗や歌が出てくるのは当然の事です。選手にしても観衆にしても、自分の国の旗が掲揚台の中央に掲げられ、国歌が吹奏されると、更に気持ちが高揚するというものです。
そんな世界各国の国歌を集めたＣＤがあります。
以前紹介した「スポーツマーチ傑作集」と同じ陸・海・空各自衛隊の中央音楽隊の演奏によるもので、世界40か国の国歌が収録されています。（詳細は画像クリック）
その演奏は各国の在日公館で承認を受けた、最も正確なものとなっています。
これとは別に、歌入りで収録されているＣＤもあるのですが、普段我々が耳にするのは演奏のみのことが多いので、私も10年程前にこちらを購入しました。
解説書に依れば、国歌というものが制度化されたのは19世紀のことで、それ以前から国王に対する忠誠の歌として歌われていたものを正式にイギリス（大ブリテン及び北アイルランド連合王国）国歌として制定した1825年がその起源でした。
当初は国の元首に対する表敬音楽、国の重要な行事の際に演奏される曲だったのが、やがて体育大会やコンサート、祝祭典など人が大勢集まる会合の開閉会の際にも流れるようになりました。その為でしょうか、国によっては元首の表敬曲と集会で奏する曲とを使い分けている所もあるそうです。
その歌詞には、君主や支配者を称えたもの、国旗を称えたもの、独立や革命、解放を祝ったものなどがありますが、そもそも歌詞のない演奏曲を国歌としている国もあります。
曲の長さは１分前後の国が多いのですが、アルゼンチンなど南米諸国には３分を越える序曲スタイルの国歌を採用している国も珍しくありません。
歌う平和の使者(2008.10.12)
このところ、世界情勢は不安定要素を色々と抱え込んでいます。
「テロとの戦い」を大々的に掲げていたアメリカも、今や世界的な金融不安の発端国に成り下がり、それに変わって今後伸びるであろう中国も、オリンピック成功の裏では人権抑圧や食の問題など、難問を抱えています。
でもそんな不安定な時代だからこそ、学術や文化の分野では、将来に少しでも希望が持てるようなメッセージを発信し続けなければならないと思います。
先年、日本人４人が立て続けにノーベル賞受賞を決めましたが、これも地道な基礎研究が長い年月をかけて評価されたものであり、国の将来への道筋になったような気がします。
一方、音楽の分野でも、デビュー以来一貫して愛と平和をテーマに活動している女性歌手がいます。
それが今回ご紹介するalan（阿蘭）です。
中国は四川省に生まれ、チベット族の血を引く彼女は、８歳の頃から歌や二胡を習い、あの女子十二楽坊を輩出した解放軍中国藝術学院の出身です。
在学中の2005年に中国で、卒業後の2007年には日本でもプロデビュー、今年（2008）の７月からは「地球を創る５つの要素（地・空・風・火・水）」をテーマに、５か月連続シングルリリースというプロジェクトを進めています。
今回ご紹介するのはその第三弾「風の手紙」です。
日本での活動を始めてまだ１年足らず、日本語の発音にはたどたどしさが残りますが、自らの思いを風に託そうという、歌に込められたメッセージを一所懸命に伝えようとする姿勢は評価できます。
ＣＤシングルに加え、イメージ映像を収めたＤＶＤも付いています。
彼女は四川大地震にも心を痛め、その復興支援のためのチャリティーソングも歌っていますが、そうした日頃の活動からも、「世界人類が平和でありますように」という彼女の思いが伝わってくるようです。
これ以外にも、ＮＨＫエコプロジェクトのテーマソングも歌う彼女、今後の活躍が期待されます。
心に響いてこそ音楽（2008.11.08）
既にお気付きかと思いますが、この「音盤話（おんばんわ）」のカテゴリでは基本的に最新ヒットは取り上げていません。
確かに、じっくり聴けばいい曲もあるのでしょうが、近年の音楽業界は「売れさえすればよい」という思想にすっかり毒されているように感じてしまうのです。
「ミリオンセラー達成」「ヒットチャート○週連続１位」などの記録を打ち立てれば、その曲は世間に評価されたと思われがちですが、決してそうではありません。たとえそうした記録尽くめでなくても、人々の記憶に残ってさえいれば、それこそ名曲と呼ぶに値すると思うのです。
前置きが長くなりましたが、今回ご紹介するのも記録より記憶に残る名盤です。
キャロル・キングは1960年代から活躍しているシンガー・ソングライターで、初期に手がけたヒット曲には「ロコモーション」「ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロウ」など後々まで歌い継がれている曲も多いのです。
紹介する「つづれおり（Tapestry）」は1971年の発売、彼女にとってのソロアルバム第二弾ですが、全米アルバムチャートで15週連続１位、グラミー賞４部門制覇などの輝かしい記録を残している名盤です。
収録曲も、標題曲や前述の「ウィルユー…」の他に、「イッツ・トゥー・レイト」「君の友達(You've got a friend)」「ナチュラル・ウーマン」など、人々の記憶に残る名曲揃いです。
私がこれを始めて聴いたのは、実はＣＤ化されてから大分経ってのことでしたが、実際に聴いてみて、彼女の作り手としての才能もさることながら、歌い手としてもどこか聴く者の心に響くものを感じずにはいられませんでした。
確かに乾いたような声質でしたが、どこかに温かみのある、情感あふれる歌い方で、正に記憶に残る歌い手ではないかと思いました。
キャロル・トンプソンが歌う「ナチュラル…」のレゲエバージョンのＣＤも持っていますし、五輪真弓がカバーした「…レイト」「君の…」のＣＤも持っています。
実は彼女は、その五輪さんのデビューアルバムのプロデュースも手がけています。 それを念頭に置けば、この二人は心に響く名曲を紡ぎ出し、それを情感たっぷりに歌う点がよく似ていることに気付きます。
地球一快適な音楽(2008.11.23)
ストレスを日々抱えた現代人には、やはり一時それを忘れさせてくれる音楽の存在は今や欠かせないように思います。
今回ご紹介するのも、所謂癒し系と呼ばれる音楽のＣＤです。
アコースティック・ギターを用いたヒーリング・ミュージックの日本における第一人者といえば、ゴンチチという二人組がまず挙げられますが、これは2003年に、彼等の結成25周年を記念して出されたベスト盤です。（詳細は画像クリック）
ゴンチチは、ともに大阪生まれのゴンザレス三上氏とチチ松村氏によって1978年に結成、83年にレコードデビューしたデュオですが、実は二人とも元から音楽を専門にやっていたわけではありません。
三上氏は旧電電公社に総務担当者として勤務、松村氏もガス会社勤務を経て画材店の営業を担当していました。音楽活動はいわば副業でしたが、むしろ兼業のほうが生活にメリハリが出来てよかったとは本人たちの懐述です。
彼等のサウンドの特徴は、それこそ「地球上で一番快適な音楽」と称されるように、あまり肩肘張らずに、日常のＢＧＭとしても気軽に聴けるところにあります。
そのせいか、「無能の人」などの映画音楽も今までに数々手がけています。
「枯葉」や「ロミオとジュリエット」などの良く知られた曲も、彼等に掛かると独特のゴンチチサウンドになってしまうから不思議です。
収められた曲の殆んどは演奏のみとなっており、それが聴く際の雑念を一切払わせる一因ともなっているのですが、歌入りの曲も、例えば"Shere the Moonlight"は以前何回も取り上げたテレサ・ブライトをボーカルに迎えており、ちゃんとゴンチチサウンドとマッチした歌声の人を選んでいるな、と感心するばかりです。
彼等は現在、ＮＨＫのＦＭで「世界の快適音楽セレクション」という番組を担当していますが、そのテーマ曲「塩と太陽」もこのＣＤには収録されています。
貴方も地球一快適な音楽に接してみませんか？
