音盤話��
一歩踏み出す勇気（2007.05.28）
巨額の制作費をかけ、十分な制作期間を置き、豪華な出演者を揃えればいい映画が作れるとは限りません。むしろその悉く逆を行く所謂Ｂ級作品の中にも観るべきものはあります。今回ご紹介するＤＶＤは、妻がたまたまテレビの深夜映画枠で見かけ惚れ込んだ作品で、私も実際に観て下手なハリウッド大作より見応えがあるなと思った映画です。
「パローレ」と題するこの作品、当代のお笑いコンビを代表する「くりぃむしちゅー」の主演ということで、劇場公開時には（単館上映だった事もあってか）徹夜組まで出たといいます。
ストーリーは以下の通りです。
さえない中年男・山田（竹田高利）と、その交際相手・幸子（烏丸せつこ）は、互いに惹かれ合いながらもなかなか次の一歩を踏み出せないでいた。そんな二人がある日、六本木のとあるラテンクラブに迷い込む。そこで差し出されたカクテルを口にした二人は、不思議な光景を目の当たりにする。
そこは夜な夜な幽霊が集まるクラブだった。生前抱いていたそれぞれの思いを胸に踊る幽霊達。その中で一際目立っていた男・フェデリコ（有田哲平）が幸子をダンスフロアに誘い込む。一方山田は、カウンターの端に座っていた男・石原（上田晋也）と目が合う。彼は事件に巻き込まれ殺害されたのだが、この世に未練を残しており成仏できずにいた。
この映画では、くりぃむ扮する幽霊達の姿を通して「今の状況を変えようと思ったら、一歩踏み出す勇気が必要だ」と今を生きる人間達に説いている、そのように感じました。
ところで、コンビ芸人とはそれぞれ別な個性をもった二人が組む事で、より強力なパワーを発揮するものだというのが私の持論ですが、この映画は正に有田・上田両氏がそれぞれの個性を活かした作品に仕上がっていたと思いました。
特に有田氏の台詞に合わせて烏丸さんが「パローレ」（「甘い囁き」の邦題でも有名）を歌うシーンは、意外に違和感なく観る事が出来ました。決して細川俊之氏に負けてません。
因みに、さえない中年男役の竹田氏は、お笑いコンビ「山口君と竹田君」の片割れですが、この山・竹コンビ、実はくりぃむしちゅーの師匠に当たります。弟子達の主演映画を師匠がサポートしていた訳ですね。
Ｃ＆Ｗのニューウェーブ （2007.06.12)
皆さんは、カントリーアンドウエスタン（Ｃ＆Ｗ）と聞いて、何を連想しますか？
アメリカ音楽の中でも、良くも悪くも素朴で、土臭くて、どこか保守的、バンジョーと言った楽器がよく使われる、そんなイメージが一般的ではないかと思います。「カントリーロード」や「ローハイド」といった曲を思い出される方も多いことでしょう。
しかし、日本の演歌もそうであるように、アメリカのＣ＆Ｗにもたまに革命児が現れる事があります。
そんなＣ＆Ｗミュージシャンの一つが今回ご紹介するシーデイジー(Shedaisy)です。
取り上げた"Knock On The Sky"なるＣＤ、実は2002年頃に購入した輸入盤、だから殆んどジャケット買いのような感じでした。
とはいえ実際聴いてみたら、今までＣ＆Ｗに対して抱いていたイメージを覆す斬新な曲が並んでおり、買って無駄ではなかったと思いました。
で、今回記事にするに当たって、改めてこのシーデイジーなるグループとは何か調べてみました。
このグループ、クリスティン(1970生)、ケルシー(1974生)、キャシディー(1976生)のオズボーン３姉妹で構成されており、アメリカはユタ州の出身だそうです。幼少期から親戚に歌を披露するなどし、また聖歌隊にも所属していたとのこと、なるほど、道理で抜群のハーモニーだった訳だ。
このグループの曲の殆んどは長女クリスティンの手によるものだそうです。1999年にデビュー、"Knock..."はアルバム第４弾に当たります。
画像クリックで表示されるのは全部で13曲ですが、実はこれ以外にも「隠しトラック」というのがあって、そこに収められている曲こそ、アルバムタイトルにもなっている"Knock On The Sky"なんです。
13曲目が終わって10分ほど無音状態が続いているなと思っていたら、突然流れ出してびっくりしました。
これからの季節、清涼感のあるカントリーサウンドはおすすめです。
節目の年に聴くベートーベン(2007.06.23)
ジノ・フランチェスカッティ／ベートーヴェン： ヴァイオリン協奏...
2007年はベートーベン没後180年に当たります。
実はこのカメログでも、既に我が家のレコードコレクションの中からベートーベン作品を二度取り上げています。 一度は、「カリスマの父もカリスマ」と題する記事で紹介した田園交響曲。もう一度は、「ピアノ改良にかけた熱情」と題する記事で紹介したピアノソナタでした。
今回は第三弾として、オーケストラと独奏楽器の共演による協奏曲をご紹介します。
ベートーベンがピアノ改良に力を尽くした事は以前触れた通りですが、実は彼は協奏曲の分野でも今までにない新機軸を打ち出したのです。
独奏協奏曲というスタイルは、ピアノ同様ハイドンやモーツァルトの時代に確立しました。
その第一楽章は、一般にソナタ形式で書かれています。 ソナタ形式とは、序奏→提示部→展開部→再現部→結尾部という構成からなる楽曲の形式ですが、この提示部が、協奏曲ではまずオーケストラのみで提示され、それが繰り返される段階で初めてソロ楽器が登場する、と言う構成を取っていました。所謂「協奏ソナタ形式」です。
しかしベートーベンは、序奏からいきなりソロ楽器を登場させるスタイルの協奏曲を発表、世間をアッと言わせます。
実はこれには先駆者がいて、モーツァルトが「ピアノ協奏曲第９番」（1777年作）の冒頭で、オーケストラの呼びかけにピアノが応えるという試みをしていたのです。それを更に発展させたのがベートーベンで、「ピアノ協奏曲第４番」（1806年作）ではのっけからピアノが活躍します。
彼以降の作曲家による協奏曲では、最早協奏ソナタ形式は用いられなくなりました。
とはいえ、今回ご紹介するバイオリン協奏曲は、前述の第４ピアノ協奏曲と同じ1806年の作ですが、協奏ソナタ形式に則った作りになっています。
うちにあるＬＰと全く同じ音源を用いたＣＤもリンク先のように出回っていますが、そのジャケットデザインは、オリジナルＬＰと全くと言っていいほど同じです。
バイオリン独奏は、ジノ・フランチェスカッティ (1905-91)。共演はブルーノ・ワルター（1876-1962）指揮のコロンビア交響楽団です。
フランチェスカッティは、イタリア人の父とフランス人の母を持ち、共にバイオリンに心得があったことから、彼自身も３歳からバイオリンを学び、10歳にして既にこの協奏曲を弾いていたといいます。その演奏法は、バイオリンの美しい音色を表現したものとして高く評価されました。
一方ワルターは、ＳＰ時代から活躍していた20世紀を代表する大指揮者の一人です。ユダヤ系ドイツ人で、その為第二次大戦中はアメリカに逃れ、戦後もそこを拠点にしていました。既にコンサートからは引退していた1960年代初頭に、ＣＢＳコロンビア（現・ソニークラシカル）の招きでステレオによる録音を多数残していますが、この協奏曲もその一つです。
実はこのレコード、日本のファンのために企画されたもので、フランチェスカッティもワルターも生涯来日公演を行わなかったことを考えれば、貴重なコラボレーションと言えるでしょう。
至高のヒーリング・ボイス（2007.07.04）
「ハワイアンとボサノバの融合」に関連して
元記事で紹介したＣＤで、「アロハ・オエ」を小野リサと共演したテレサ・ブライトは、ハワイに生まれ育ち、今もそこを活動の拠点としている歌手で、古き良きハワイの伝統を受け継ぎながら、アメリカ本土の音楽も取り入れた独自の世界を繰り広げています。
それは、彼女が育ってきた環境にもよるかもしれません。
父はミュージシャン、母はフラダンサーという家庭に生まれ、彼女自身も５歳にして既に地元のステージに立っていたといいます。その両親からは、伝統音楽のみならず、先祖についての知識も伝授されました。
大学在学中の1978年、クラブ歌手のアルバイトをしていた彼女は、そのクラブでベーシストのスティーブ・マイと知り合い、その後８年間「スティーブ＆テレサ」というデュオとして活動しました。その活動を通じて彼女は、ハワイの伝統音楽にとどまらず、アメリカ本土の音楽にも積極的に取り組みました。
ソロに転じて後も、その選曲の幅広さは変わることがありませんでした。
今回ご紹介する「クワイエット・ガール」も、収録曲（詳細は画像クリック）の幅広さが目を引きます。
「静かな夜」はアントニオ・カルロス・ジョビンの作によるボサノバの名曲ですし、「ブルーハワイ」もよく知られた曲です。かと思えば、「パフュームズ・オブ・パラダイス」といったハワイのミュージシャンによる新曲も収められています。
更に、1996年の初版版にはなかった曲もこの2001年の再販版には収められています。99年秋に某ビール会社のキャンペーンソングとして使われた「オンリー・ザ・グッド・シングス」がそれです。
これからの季節、耳からハワイの風を感じてみてはいかがでしょうか？
あるジャズマンの光と影(2007.07.11）
どんなに表向き光り輝く人生を送っている人にも、必ず影の部分と言うのは存在します。
いやむしろ、その影が大きいほど、より一層光を増すものです。
今回ご紹介する「サーフ・ライド」というＣＤも、タイトル通りサーフィンを楽しむ水着美女が描かれたジャケットとは裏腹に、演じるミュージシャンは相当に影のある人物です。
このアルバムは、アルトサックス奏者のアート・ペッパー（1925〜82）のファーストアルバムとして製作されたもので、1952年３月から54年８月にかけて録音された12曲からなります。何故録音時期がこれほど離れているか？それは彼の個人的な事情によります。
今でこそ、薬物に手を出すアーティストなど滅多にいませんが、彼の全盛期だった1940年代から60年代にかけては、ジャズミュージシャンと薬物は切っても切れない縁でした。ペッパーもその一人でした。
しかも彼は、ヘロインと何度も闘いながら結局は手を切る事が出来ませんでした。実際彼は、このアルバムの製作途中（半分の曲の録音が済んでいた段階）の1953年に薬物不法所持容疑で逮捕、１年以上の拘留生活の後54年８月に仮釈放、残りの曲を録音します。
しかしその後再び拘留生活に入り、結局56年まで出所できませんでした。
ペッパーは白人ですが、その我が身を削って自らをさらけ出すような演奏スタイルはむしろ黒人のそれに近いと言われています。
その背景にあったのが薬物であったことは容易に想像できます。
とはいえ、このアルバムでは、そうした薬物の不健康なイメージが全然感じられません。実際ペッパーが感情吐露の傾向を強くしていくのはこれよりも後の事、当時の彼はウエストコースト・ジャズの旗手としてむしろクールな曲調を得意としていました。
ウエストコースト・ジャズを分かりやすく言えば、それこそ店内にはジャケットに描かれたような水着美女がいそうな、ビーチサイドにあるジャズクラブで演奏されているような曲をイメージして頂ければいいでしょう。
夏に向けてお奨めの１枚です。
ホットでクールな夏向きＣＤ(2007.07.27)
Janet Kay ジャネット・ケイ / Lovin You - Best Of 国内盤
レゲエというジャマイカ生まれの音楽について私は、真夏と言うよりは立秋を過ぎたあたりの海辺、それも夕方くらいの時間帯がマッチしているようなイメージがあります。
手っ取り早く言えばタイトルにも書いたような「ホットだがクール」な音楽と言う事です。
何か抽象的なことを並べてしまいましたが、そうしたイメージを実証しようと思ったら、「まずこれを聴け」とお奨めしたいＣＤがこちらです。
"LOVIN’YOU~BEST" Janet Kay
（詳細は画像クリック）
ジャネット・ケイ自身はロンドンの生まれですが、その両親がジャマイカからの移民、つまり二世と言う訳です。
彼女の両親の世代はイギリス政府の旧植民地政策の一環として、多くの人が故郷を離れて英国に渡った、そんな世代でした。彼等移民によって、英国にジャマイカの文化がもたらされ、現にロンドンには今もジャマイカンが多く住む街があります。
移民二世の特徴として、元々の出身地の文化にも現在地の文化にもごく自然に馴染むという傾向があります。
だからでしょうか、ジャネット自身はレゲエシンガーという意識が希薄で、むしろモータウン・サウンドにも影響を受けたといいます。
このＣＤは、そんな彼女の初期のヒット曲を集めたベスト盤で、レゲエとはどのようなものであるかまず知りたいと言う人にはもってこいの作品だと思います。
「ラヴィング・ユー」（実はこれが彼女のデビュー曲）や「イマジン」などといったカバー曲も、ジャネットの手に掛かれば正にホットでクールな曲に変身するから不思議です。
ご当地ソングの草分け(2007.08.02)
デュークエイセス／にほんのうた 第2集(CD) ◆15%OFF！
デュークエイセス／にほんのうた 第3集(CD) ◆15%OFF！
1960年代、日本は、未曽有の高度経済成長に、沸いた。
地方から、大量の若者が、集団就職で、都会になだれ込んだ。
単身都会に乗り込んだ孤独を紛らわそうと、彼等が夜な夜な通ったのは、歌声喫茶。あるいは、民謡酒場。
しかし、そこで歌われる故郷の歌に、どうしても馴染めない。
古くから伝わる民謡は、若者感覚からかけ離れたものばかり。
このままではいけない。若者感覚の故郷の歌を作ろう。
一人の男が立ち上がった。
男の周りに、次々と集まる仲間達。
そして、壮大なプロジェクトが、始まった。
「プロジェクトＸ」風の書き出しで始まった今回の「音盤話」ですが、ここで取り上げるのは、1965年から69年にかけて、ＬＰ４枚に亘って制作された「にほんのうた」シリーズです。「自分達の感性で新しい故郷の歌を作ろう」と立ち上がった人物とは、「上を向いて歩こう」「こんにちは赤ちゃん」などの作詞者としても知られている放送作家・永六輔氏。
集まってきた仲間達とは、共に永氏とは旧知の仲だった作曲家・いずみたく氏とコーラスグループ・デュークエイセスです。
彼等が東芝レコード（現・ＥＭＩジャパン）のスタッフとともに全国を旅して回り、その土地土地での印象を歌にまとめ、出来た歌からシングルリリース、それがある程度まとまったところでＬＰリリース、その作業を５年近く繰り返して全国46都道府県（当時）と沖縄の歌を作り上げた、正に壮大なプロジェクトでした。
そうして発表された歌の中には、「いい湯だな」「女ひとり」「筑波山麓合唱団」など、今もスタンダードナンバーとして親しまれているものも多いのです。
「自分達の名は忘れられても、歌だけは連綿と歌い継がれていくのが理想だ」というのがこのプロジェクトに関わった人全員に共通の思いです。
後に「日本再発見（ディスカバー・ジャパン）」の呼び声とともに、全国各地の地名をあしらった所謂「ご当地ソング」がブームとなりましたが、この「にほんのうた」はそうしたブームの先駆者ということもできるでしょう。
神秘のマリモ伝説(2007.08.10)
釧路に住んでいた頃、阿寒湖には何度となく訪れています。
湖上遊覧船が周航する夏も、氷に閉ざされた冬も、それぞれに趣があります。
でも、阿寒湖と聞いて大概の人がイメージするのは、やはりマリモでしょう。
そのマリモにまつわる伝説をドラマ仕立てで聞かせるレコードが遊覧船上で売られていました。写真がそれです。
そこに収録されているマリモ伝説とは、こんなお話でした。
昔、阿寒湖畔のとある集落（アイヌコタン）でのことである。
そのコタンの酋長には、ピリカメノコ（美しい娘）がいた。彼女は、酋長に仕える下男に密かに思いを寄せていた。
しかし彼女には、親が決めた許婚がいた。彼は副酋長の息子だが、コタン一の乱暴者だった。
彼女が下男に思いを寄せていることを快く思わない許婚は、彼を呼び出す。殺してしまおうと思ったのである。
しかし、下男によって逆に殺されてしまう。
コタンの厳しい掟には逆らえず、下男は湖に身を投げる。
それを知った娘は嘆き悲しみ、一人船で湖に出る。
すると、どこからともなく下男が日頃吹いていた葦笛の音が聞こえてくる。
その笛の音に導かれるように、娘の姿は湖の奥に消えていく。
二人の魂は湖の底で結びつき、マリモになったと言う事だ。
この世では叶わぬ身分違いの恋が湖の底で結実したという、悲しくも神秘的な伝説です。
ただこの伝説は、アイヌ民族の間で代々伝わるものではなく、後世ヤマト民族によって創作されたものだそうです。
では、元々アイヌ民族の間で伝承されてきたマリモ伝説とはどのようなものだったのでしょう？
昔、阿寒湖には年老いたカムイ（神）とベカンベ（菱）がいた。
ある日カムイとけんかしたベカンベはカムイに阿寒湖を出て行くように言われ、湖から出て行くとき暴れまわったあげく、近くに生えていた藻を取ってカムイに向かって投げつけた。藻は湖の波の間を転がっているうち、いつの間にか丸いト・カリプ（マリモ）になった。
そしてそのト・カリプが自然に増えて今のマリモを形成するようになった。
元々文字を持たないアイヌ民族の間では、こうした伝説も全て口述伝承でした。だから、もしかしたら叶わぬ恋を嘆き、湖に身投げした人もいたはずですが、そうした話は彼等の厳しい戒律の中では伝承されず、闇に葬り去られていただけかもしれません。
さて、貴方はどちらの伝説に惹かれますか？
激レア？母校のレコード(2007.08.25)
「函ラの黒歴史？」(「一期一会」参照）の関連記事（以下引用）
ところで、以前テレビに「甲子園に行かなくてもテレビで校歌が歌える」という企画があったのをご存知ですか？
その「夕ニャン」でも歌われた函ラの校歌が収められたレコードが手元にありました。（写真左）「夕やけニャンニャン」のコーナー企画ですが、実はこのコーナーの全国大会でわが母校、函館ラサールはみごと日本一になったことがあります。
1986（S61）年のことです。
番組は、全国の各ブロック予選を勝ち抜いた高校が一堂に集まり、学校自慢と様々なパフォーマンスで競い合い、見事優勝したチームはタイトル通り自校の校歌を歌える、という内容でした。
これは昭和51（1976）年に、同校のグリークラブが高松で開催された全国合唱コンクール・高校生の部に出場したのを記念して作られたもので、当時在学していた兄が購入したものです。
Ａ面には、当時の校長の英語による挨拶ののち、校歌と学生歌が収められています。Ｂ面はコンクールでも歌った合唱組曲「雨」となっています。
では写真右は何かと言うと、私の出身中学が卒業記念に制作したレコードです。確か我々及びその前後数年間、贈られていたものです。
内容は、生徒の合唱及び吹奏楽部による校歌演奏、そして学校のあらまし紹介などとなっています。
実は以前、ヤフーオークションを覗いていたら、その中の「中古レコード」のコーナーに、たまたまこのレコードが出品されているのを見つけました。この時期の卒業生の誰かが出品したものと思いますが、意外な発見でした。
皆さんの母校では、このようなレコードが作られたことはありますか？
名誉高知県民(2007.09.10)
高知の夏の風物詩と言えば、よさこい祭りを外すわけにはいきません。
よさこい祭りとは、両手に鳴子と呼ばれる鳴り物を持った踊り子達が、よさこい節をモチーフにしたお囃子に合わせて市内を踊りながら練り歩く祭りで、昭和29（1954）年に始まりました。四百年という伝統のある阿波踊りの形式美に対し、自由を尊ぶ県民性が反映されて年々変化を遂げる祭りです。８月９日に前夜祭、10・11日が本祭、12日が全国大会という日程で行われます。全国大会とは、半世紀の歴史の中で各地に伝わった同様の祭り（よさこいソーランはその代表）に参加する踊り子達が一同に会して行われるものです。
そのよさこい全国大会に毎回ゲスト審査員として招かれているのが、名誉高知県民・ペギー葉山さんです。県内外何れからの参加を問わずに選ばれる「ペギー葉山特別賞」も毎年選定され、表彰式の後は参加者全員による「正調鳴子踊り」の総踊りに続いて、ペギーさんの歌う「南国土佐を後にして」で締めくくるのが慣わしとなっています。
ペギーさんが名誉高知県民の称号を与えられたのは勿論「南国土佐…」をヒットさせた功績によるものですが、当初彼女はこれを歌う事にあまり乗り気ではなかったと言います。
それを戦後、高知県在住の作曲家・武政英策（よさこい鳴子踊りも彼が手掛けた）が採譜、歌の主人公も戦地に赴く兵士から集団就職で上京した若者に置き換えられ、昭和28（1953）年頃に別な歌手によってレコード化されました。しかしこの頃はまだ知る人ぞ知る的存在でしかありませんでした。
それが一気に知れ渡るようになったきっかけは、昭和33（1958）年11月、ＮＨＫ高知がテレビ放送を開始、その記念番組の中で高知の歌を全国に広めようと、「南国土佐…」をその時の出演者の一人・ペギーさんに歌ってもらおうとしたことからでした。
しかし、元々ジャズシンガーだった彼女は、やはり日本調の歌には抵抗がありました。そこをスタッフに「今回１回限りでいいから」と説得され、しぶしぶＯＫしたのだそうです。
実際には、放送直後から絶大な反響があり、特に「もう一度聴きたい」というリクエストの殺到にはさすがのペギーさんも心を動かされ、ようやくレコーディングに踏み切る決心がついたと言います。
こうして翌34年には、レコード売上100万枚を超えるミリオンヒットとなりました。
そのうちの１枚が我が家にあります（写真左）。
「アンコール盤」とあるのは、当初ＳＰ盤として売り出されたものを後にＥＰ盤として再発売した、ということです。
特に、自ら訳詞を手掛けた「ドレミの歌」は有名です。
これは、ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」をブロードウェイで実際に観て痛く感動したペギーさんが、その日のうちに滞在先のホテルで日本語の歌詞を一気に思いつき、書き留めたものだそうです。
とはいえ彼女は、逐一ストーリーを追いながら作詞したわけではなく、だからペギー訳は「サウンド…」の日本公演の際には採用されないのだそうです。
でも、原詩の"Doe-a deer,a female deer"を「ドは雌鹿のド」と直訳したのでは、日本人には全く意味が通りません。やはり「ドはドーナツのド」のペギー訳のほうが我々にはしっくり来るように思います。
これからも、高知の良さを全国に発信して頂きたいと思います。
