メディア談義��
情報の地域間格差（2009.03.11）
日本の連覇に終わったワールド・ベースボール・クラシック（ＷＢＣ）だが、その第一ラウンドが私が住む高知では全く放送されなかった。
高知にはネット局のないテレビ朝日系での中継だったからである。
地元の民放３局にはそれに関する苦情や問い合わせが殺到したそうだが、ネットワークの縛りがある以上、本来の系列が優先されるのは当然のこと、「ならせめて深夜に録画で見せてくれてもいいのに」と言う意見もあるが、既にスポーツニュースで結果がわかっている以上、それでは有難みも半減ではないだろうか。
因みに第二ラウンド以降はＴＢＳ系での中継となっており、高知でもネットされた。
何より、こうした事態は、チャンネルが少ない地域に住んでいる以上十分想定できたはずだ。
だから地方民放の番組編成も、かつては地域密着を基本とし、あとは複数の在京キー局から人気番組を選んで編成するのが当たり前だった。地方レベルでは、その地域の経済基盤や受信可能世帯数などを考慮して、民放テレビも１〜２局で抑えられていたという事情もある。
しかしその後地方でも多局化が進行し、特に平成に入ってからは、すっかりキー局主導の番組編成になってしまった。平成新局の多くは、自前で番組を作る能力に乏しいからである。
このように、今では全国同時ネットが当たり前になってしまい、放送法が前述のようなルールになっていることは殆ど知られていない。
そうは言っても、ＷＢＣのようなスポーツイベントが特定の地域だけ観られない状況は放置できない。
それなら、何故衛星波をもっと活用しない？
ＷＢＣのテレビ中継は、地上波では日本絡みの試合と組み合わせに拘らず準決勝と決勝が、一方ＣＳのＪスポーツでは全試合の模様が中継されていた。
ただ、ＣＳが観られる環境にある世帯は限られている。
何故今回、より普及率が高いであろうＢＳでの並行放送が認められなかったのだろう？
ＮＨＫが無理なら、テレ朝の子会社であるＢＳ朝日で放送することは出来なかったのだろうか？
在京キー局はただでさえデジタル化への投資で手一杯なのに、それに追い討ちをかけたのがこのところの景気低迷だ。
更に地方の経済は都市圏以上に疲弊しており、そこに新局を作ったところで赤字は必至だ。
それよりも、テレ東の子会社・ＢＳジャパンでの並行放送を増やしたほうがより現実的な対応だ。
そもそも、地上波民放は都道府県単位という枠組みもそろそろ見直すべきではないだろうか。
仮に道州制と言うものが導入されれば、否応なく今までの県単位の放送局は州ごとに合併することになるだろう。
道州制とならないまでも、地域ブロックごとに経営統合したり、複数の県に跨る放送エリアにしたり、あるいは一局二波を認めたりという対応は十分可能なはずだ。
何より、地上波・衛星波・有線放送・インターネットといった放送と通信を一体化した総合体系の中で、それぞれをどう位置づけるかという議論をもっと進めるべきだと思う。
コメント欄から
○キー局傘下の放送局を増やすのは、 うみがめさんがおっしゃるとおりコストの面でムリがあると思いますし、 地元の番組を制作するためのスポンサーの獲得も、 現状では難しいでしょう。むしろBSやCSに期待するべきであろうと思います。
が、 ただこれも大都市部中心（その多くが東京）の情報に偏り、 地方の情報は一切放映されないという現在の地上波ならびにデジタルの番組と、 同じようにならないかが心配です。（みずなす）
●確かにそうした懸念はあります。
それを未然に防ぐために、ＢＳでは地方局の製作した番組が番組全体の３分の１程度を占めること、というルールを作ってもいいかもしれません。 （うみがめ）
○国対抗のスポーツは、やはり、 ＮＨＫさんにしてもらうのが１番では ないでしょうか ？
そうすれば、受信料の 増益にもつながるのでは ？（クルー）
●確かにそれが理想かもしれません。
ＮＨＫなら、応援団長と称して競技とはあまり関係のないタレントを出すようなこともないでしょうし。（うみがめ）
○ウチとこも民放３局・・・
情報はNHKだのみでっす（≧ω≦）ｂ（ま〜ま）
●ま〜まさんは確か山陰地方でしたね？
因みに民放３局は高知や山陰（鳥取・島根）など全国８地区９県、２局の地区も宮崎など３県となっており、こうした地域の人は同じような不満を抱えています。 （うみがめ）
中学生向けラジオ講座（2009.04.20）
「私的昭和テレビ大全集」の「おかあさんの勉強室」の関連記事
元記事で紹介されているのは母親向け講座ですが、勉強室つながりで、かつて私もお世話になった中学生向けのラジオ講座を思い出しました。
「中学生の勉強室」です。
ＮＨＫラジオの第二放送で、月曜から金曜までの毎晩７時半からの30分間、実力養成と高校受験対策を兼ねて放送されていた講座番組でした。
月曜日は英語、火曜日は社会、水曜日は数学、木曜日は理科、金曜日は国語と、曜日ごとに教科が分かれていて、それぞれ専門の先生が分かりやすく解説して下さいました。
番組テキストが毎月発行されていたのですが、一冊数百円と中学生のお小遣い程度で買える値段だったのも魅力的でした。
学習塾や家庭教師に頼ろうと思えば、月に数万円はかかる事を考えれば、これほど安上がりな学習法はありません。
実は、中３当時自分がいたクラスでも、私がこれを利用しているとの評判を聞きつけた同級生が、この番組のテキストを購入し、ラジオ講座も聴き出したのですが、結局２〜３か月で挫折したようです。
やはり、自分にはこうした学習法は向いてないと判断したのでしょう。
今回の記事を書くに当たって、この番組がいつから始まったか、今もやっているのか等確認しようとネット検索に当たったのですが、結局番組の概要や歴史についてまとめた記事には行き当たりませんでした。
ところで、中学生向けのラジオ講座と言えば、「基礎英語」シリーズを思い出される方も多いことでしょう。
勿論私も聴いていたのですが、この番組については中学生に留まらず、もう一度英語を基礎からやり直したいと考える中高年層にもリスナーが多く、その点純粋な中学生向けとは言いにくいように思います。
コメント欄から
○去年から基礎英語２を勉強しています。海外行ったら、やっぱり英語が便利だったので。（など）
●そうですか、やはり英語を基礎から、という社会人にとっては今でも「基礎英語」が重宝するわけですね。（うみがめ）
○お金をかけずに、効率的に勉強できる良い方法ですね?
だけど、本人のやる気がないと続かないかも^^;（ま〜ま）
●それはあるかもしれません。
私はどうにかこうにか１年間やり通しましたが、同級生は結局途中止めになりましたから…（うみがめ）
○中2の娘が基礎英語１と２のハシゴ中でっす♪
ネイティブ発音に「耳慣れ」しないと学校の定期テスト（リスニング）がキツイそうです（おく）
●まあ大体、聞き取りテストはネイティブスピーカーが出題するところが多いようです。普段からネイティブの発音に慣らすためには、ラジオが一番手っ取り早いですね。（うみがめ）
時刻表1000号（2009.04.21）
ＪＴＢ発行の時刻表が、昨日（20日）発売の2009年５月号で通巻1000号となりました。
この時刻表、鉄道などの公共交通機関の運行ダイヤを列挙した本として毎月刊行されています。
だからでしょうか、鉄道には余り興味のない人からはよく、「時刻表なんてただの数字の羅列。あんなの眺めててどこが面白いの？」と聞かれることがあります。
しかし、私のような鉄道ファンにとってはそこが面白いのです。
眺めているだけでも、まだ行ったことのない地域に行った気になれるし、またよく利用する路線も、その乗り継ぎを調べるのに重宝します。
特急などの優等列車の名前も大体は時刻表から覚えたものでした。
それに、ただ単に時刻を調べるだけでなく、巻頭に出ている路線図で珍しい駅名を見つけたり、あるいは巻末の旅館ガイドによって宿泊先を探したりと、様々な利用法があります。
さすがに毎月は買いませんが、全国規模でダイヤ改正がなされた前後には新しいものに買い換えるようにしています。
さてこの時刻表、1872（Ｍ５）年にわが国初の鉄道が開業した当初からあったのですが、当時は時刻を表すのに字（時でない）と表現していたそうです。
毎月発行の定期刊行物としての最初は、1894（Ｍ27）年に庚寅新誌社（こういんしんししゃ）から出版された「汽車汽船旅行案内」で、その発売日となった10月５日は時刻表記念日と定められています。
この頃の時刻表は、今と違って右開き・漢数字による縦書きが基本でした。
これに対し、ＪＴＢ（日本交通公社）の前身・日本旅行文化協会から1925（Ｔ14）年に創刊された「汽車時間表附汽船自動車発着表」は、欧米に倣い左開き・算用数字による表記を採用、それまでの「汽車汽船…」に替わって当時の鉄道院から公認を受けました。
これが今に続くＪＴＢ時刻表の始まりです。
その後も交通公社の時刻表と言えば、長く国鉄監修のもと発行されてきたのですが、1987（Ｓ62）年の国鉄民営化を機に、鉄道弘済会（駅売店などを運営していた団体）の子会社・弘済出版社（現・交通新聞社）から、それまでの「大時刻表」（1963年創刊）に替えて「ＪＲ（編集）時刻表」が発行されるようになり、今はこちらがＪＲ各社公式の時刻表となっています。
ＪＲの公認を離れたとはいえ、創刊年度が圧倒的に古いＪＴＢ（88年からこの名称が前面に出る）の時刻表の信頼度は今も変わらず、発行部数でもＪＴＢが公称80万部なのに対し、ＪＲは公称70万部となっています。
表紙には、各地の路線に取材した鉄道車両の写真があしらわれる事が多いのですが、通巻999号となった４月号では、その号数に因み「銀河鉄道999」が登場、むしろアニメファンが喜びそうな表紙となりました。
そういえば以前、劇場版999の公開記念イベントとして、行き先不明のミステリー列車「999号」が運転されましたね。
実際には上野から烏山までの運転でしたが、もうあれから30年経ちました。
ともあれ、これからも時刻表は旅情を駆り立てるバイブルであり続けることでしょう。
コメント欄から
○時刻表は見てるだけで旅に出たような気分になるので好きですね
私は「銀河鉄道999」の４月号が良かったです（うす）
●1000号目の表紙は、確か歴代の名車の数々が並んでいましたね。それもデザインとしてはありとは思いますが… （うみがめ）
○ネットや携帯で検索できるようになって、 時刻表はしばらく見てませんでした。orz
通巻999号はマンガを題材にしたんですね。（よっしーよしだ）
●近年は、時刻表の売り上げも漸減傾向にあるそうです。
ご指摘のようなネットを通じての検索が容易になったことがその一因に挙げられます。
まあ、単にＡ地点からＢ地点までの時刻を調べるだけならそれでもいいのでしょうが、一見無駄とも思えるその途中に通る駅の時刻までわかるところにこそ、あの分厚い時刻表の醍醐味があるように思います。（うみがめ）
○ホント・・・時刻表があったおかげで 友人との待ち合わせにも 間に合いました(≧ω≦)ｂ
バスにも・・・ （ま〜ま）
●それはよかったですね。
もし時刻表なしの行き当たりばったりだったら、きっと逢えず終いだったでしょうね。（うみがめ）
○仕事で、毎週、あちこちに出張に行くのですが、 その生活を１年経験しましたが、その時には、 ポケット時刻表は、大事な、お友達でしたね。 （クルー）
●時刻表にはこのほかにも、掲載される路線を特定の地域に限ったものも出回っています。
首都圏や京阪神など、全国版では一部の列車しか書かれていない路線も全列車記載されているのが嬉しいところです。（うみがめ）
○時刻表は、旅を愛する者にとって大事な友ですね。
旅の計画を立てる時にめくり始める、あの瞬間の ときめきは何とも言えません。（おこめ）
●確かに、旅行計画を立てる上での必需品でもありますが、マニアにとっては特に目的もなく眺めるだけでもわくわくするものです。（うみがめ）